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M&A用語+

M&A用語は専門的なものが多く、誤用もされやすく、要注意です。
売却価格等の条件は、「取引関係者による評価」で決まります。
売主が成行任せは禁物で「買主サイドの評価を想定した準備」が勝敗を分けるのです。
取引関係者は、買主本人(買主の社内でも賛成派、反対派がいることも)だけではありません。
専門家(会計士、税理士、弁護士、コンサルタントが精査結果や価値評価を買主に報告)や、
銀行(買収資金の融資可否判断や融資条件を検討)等がどう評価するか、などなど。
買主サイドでもそれぞれの利益やリスクがあって、それぞれの主張があるのです。
正確な用語理解が、クライアント様の利益最大化への第一歩となります。
日本初の売主支援専業のM&A助言会社として、『売主様のためのM&A用語集』をご用意しました。
用語の意味に加え、知っておくべき豆知識をご紹介してますのでぜひ参考にしてください。

需要と供給の法則(Law of Supply and Demand)

◆需要と供給の法則は、経済学の基本原則の一つであり、財やサービスの市場価格はその需要量と供給量のバランスによって決定されるという考え方である。この法則は、価格の変動によって需要者と供給者の行動が調整され、最終的に市場価格が均衡点に達するという理論に基づいている。

◆代表的な経済学理論としては以下を挙げられる。

需要の法則:他の条件が一定であれば、財やサービスの価格が上昇すると、その財やサービスに対する需要は減少するという考え方。逆に、価格が低下すれば需要は増加する。
供給の法則:価格が上昇すれば、供給者はより多くの財やサービスを提供するようになり、価格が低下すれば供給は減少する。この法則は、供給者がより高い利益を得るために、生産を増加させることを前提としている。
市場均衡:需要と供給が一致する価格(均衡価格)と数量(均衡数量)の点で市場がバランスを保ち、その結果として価格が安定する。この均衡価格は、外部要因や政策の影響で変動する可能性がある。

◆市場価格が均衡から外れる原因は多岐にわたるが、以下に代表的な原因を列挙する。

<需要側の変動>
消費者の嗜好の変化:トレンドや技術進歩による需要の増減。
所得の変化:消費者の所得が増加または減少すると、財やサービスに対する需要が変動する。
期待の変化:価格が今後上昇すると予想される場合、消費者は前倒しで購入を行うことがあり、逆に下落予想で消費が遅れることがある。
政府政策:税制や補助金の変更が需要に影響を与える。消費税の増税は需要を抑制し、補助金は需要を促進する。
外部ショック:自然災害、戦争、パンデミックなどにより消費者の購買力や購買行動が急激に変わることがある。
利用可能な代替品:代替品(他の財やサービス)が安く提供されると、需要が減少することがある。
<供給側の変動>
生産コストの変化:原材料や労働コストの変動が供給に影響を与え、生産コストが上昇すると供給が減少し、逆にコストが下がると供給が増加する。
技術革新:生産効率の向上や新技術の導入により供給が増加する場合がある。
規制の変更:政府が新しい規制を導入したり、既存の規制を撤廃したりすることで、供給が変動する。
天候や自然条件:農業や漁業など、天候や自然条件に依存する産業では、供給が著しく変動することがある。
企業間の競争:新規参入や市場からの退出により、供給量が変わり価格が影響を受ける。
生産のキャパシティ:工場や設備のキャパシティが限界に達している場合、供給が制限される可能性がある。
<市場の情報の不完全性>
情報の非対称性:売り手と買い手の間で情報が均等に共有されていない場合、取引価格が適切に形成されず、均衡から外れることがある。
誤った情報や期待:市場に不正確な情報が流れたり、投資家や消費者が過度に楽観視または悲観視することで、需要と供給が不均衡になることがある。
<政府の介入>
価格統制(上限価格・下限価格):政府が市場価格に対して上限や下限を設定すると、需給がミスマッチを起こし、供給不足や過剰供給が生じる。
関税や貿易制限:貿易政策の変更により、国内市場における財やサービスの供給量が変わることがある。
補助金:特定の産業や商品の生産に補助金を与えることで、供給量が市場の自然な均衡から逸脱する場合がある。
<金融政策・通貨価値の変動>
金利の変動:中央銀行が金利を上下させることで、投資や消費行動に影響を与え、需要と供給のバランスが変わる。
通貨価値の変動:為替レートの変動により、輸出入品の価格が変動し、国内外の需給バランスに影響を与える。
インフレ・デフレ:通貨の価値が変動することで、全体的な需要や供給に影響を与え、価格が均衡から外れる。
<投機・市場心理>
投機的取引:市場での投機的な取引が活発になると、需要や供給の実態とはかけ離れた価格が形成される場合がある。
パニック買い・売り:市場の過度な不安や楽観により、一時的に需要や供給が大きく変動することがある。
<外部経済・外部不経済(外部性)>
正の外部性:ある財やサービスが他の経済主体に利益をもたらす場合、需要が過小評価され、均衡価格が実際よりも低くなることがある。
負の外部性:環境汚染や社会的コストが伴う場合、価格が過小評価され、市場均衡が持続的に維持されない場合がある。
<労働市場の状況>
失業率の変動:失業率が高い場合、消費者の購買力が減少し、需要が減退する可能性がある。逆に労働市場が逼迫している場合、賃金が上昇し、消費が増加する。
労働力不足:特定の分野で労働力不足が生じた場合、供給が制限され、市場価格に影響を与える。
<国際情勢の変化>
戦争や政治的緊張:戦争や紛争、貿易摩擦などが起きると、原材料の供給が停止したり、需要が変動したりして、価格が急激に変動することがある。
国際取引の障害:輸送コストの上昇や物流の問題が原因で、供給が減少し、価格が上昇することがある。

【Plus】経営者として注意すべきリスクとチャンスとしては以下を挙げられる。

短期的なリスク:需要が急激に減少した場合、価格を引き下げざるを得なくなり、利益が圧迫されるリスクがある。また、供給過多により在庫が積み上がり、コストが増加する可能性もある。特に競争の激しい市場では、需要の変動による価格下落が企業の収益性に深刻な影響を与える。
短期的なチャンス:需要が急増した場合、供給が不足し、価格が上昇することで利益を増加させるチャンスがある。特に、競合他社が迅速に対応できない場合、市場シェアを拡大しやすい。また、価格変動を予測し、在庫管理や生産計画を適切に調整することで、短期的な利益を最大化できる。
長期的なリスク:供給側が長期間にわたって増加することで、過剰供給が常態化し、価格が長期的に下落し、企業の収益性が損なわれるリスクがある。また、技術革新や規制の変更により、需要が予期せず減少することも考えられる。
長期的なチャンス:需要が持続的に増加する市場においては、安定した売上成長が期待でき、価格の上昇も見込まれるため、長期的な投資が利益を生む可能性がある。特に、新たなニーズに応える製品やサービスを提供することで、競争優位を築くことができる。

【Plus】オーナーとしての株式価値の視点としては以下を挙げられる。

需要の増加:需要が持続的に増加する市場においては、企業の売上と利益が拡大し、それに伴って株式価値も上昇する可能性がある。特に、需要が供給を上回る状況が続けば、価格の上昇とともに企業の収益力が高まり、株式の市場価格も上昇する。
供給の過剰:一方で、供給が過剰になると、価格競争が激化し、利益率が低下するため、株式価値が減少するリスクがある。特に、業界全体で供給過剰が続く場合、企業価値の減少が長期化する可能性があるため、適切な供給調整や新市場の開拓が求められる。