◆期待値とは、確率論において、ある確率変数が取り得る値にそれぞれの確率を掛けた合計値のことを指す。ランダム事象の長期平均的な結果を予測する際によく用いられる。経済学、ゲーム理論、設備投資計画、事業計画や証券投資など多くの分野で用いられ、意思決定において有用な指標である。
◆例えば、例えば、コインを1回投げるゲームで、表が出れば100円もらい、裏が出れば50円失うとする。このゲームの期待値を計算すると、次のようになる。
- x1=100円 (表が出たとき)
- p1=50% (表が出る確率)
- x2=▲50円 (裏が出たとき)
- p2=50% (裏が出る確率)
期待値E(x)は次のように計算される。
E(x)=100×0.5+▲50×0.5=25
この場合、このゲームを1回行ったときの期待される収益は25円である。
◆行動経済学によれば、多くの人は期待値が25円とプラスなのに、このゲームにチャレンジせず、▲50円を回避することを重視してしまう。問題は、起こりうるあらゆる事象、その効果と発生確率を合理的に推測することに一定の困難が伴うことである。また、実際の経済事象においては、xやpを自らの努力によって動かすことができる点を見逃しやすい点も重要である。以下のような状況に好転すれば、足を前に踏み出しやすくなるはずである。
- x1=200円 (表が出たとき)
- p1=90% (表が出る確率)
- x2=▲5円 (裏が出たとき)
- p2=10% (裏が出る確率)
期待値E(x)は次のように計算される。
E(x)=200×0.9+▲5×0.1=199.5