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M&A用語+

M&A用語は専門的なものが多く、誤用もされやすく、要注意です。
売却価格等の条件は、「取引関係者による評価」で決まります。
売主が成行任せは禁物で「買主サイドの評価を想定した準備」が勝敗を分けるのです。
取引関係者は、買主本人(買主の社内でも賛成派、反対派がいることも)だけではありません。
専門家(会計士、税理士、弁護士、コンサルタントが精査結果や価値評価を買主に報告)や、
銀行(買収資金の融資可否判断や融資条件を検討)等がどう評価するか、などなど。
買主サイドでもそれぞれの利益やリスクがあって、それぞれの主張があるのです。
正確な用語理解が、クライアント様の利益最大化への第一歩となります。
日本初の売主支援専業のM&A助言会社として、『売主様のためのM&A用語集』をご用意しました。
用語の意味に加え、知っておくべき豆知識をご紹介してますのでぜひ参考にしてください。

会計ソフト(Accounting Software)

◆会計ソフトとは、日々の経理業務や決算処理をするためのアプリケーションソフトで、財務諸表を作成する際に会計ソフトを使用する。

◆会計ソフトは、複式簿記のルールに従って、企業が採用する会計基準(税務会計財務会計)を実現する「仕訳レコード」を生成する機能と、仕訳レコードを一定の条件に従って集計する機能(財務諸表の作成もこれに当たる)が基本的な機能である。さらにクラウド管理(外部連携)、連結会計(複数企業)、本支店会計(複数支店)、柔軟なデータ出力(表計算ソフトやプログラミングの素材を出力)といった高度な機能を備えるものも多い。

◆日本の中堅・中小企業向けが利用する主な会計ソフトは、一般に次のようにグループ化できる。

▼基本的な財務管理と会計機能に特化したソフト:
弥生会計:シンプルな操作性で、多くの中小企業に導入されている。簿記や会計の基本を簡便に管理できるが、連結決算機能や高度な分析機能は限定的。
freee:クラウドベースで中小企業に対応し、日常の会計管理がスマートフォンでも可能。人事給与や経費精算との連携が容易だが、元来家計簿ソフトであるため、複雑な業務要件には対応が難しい。
ミロク会計:主に小規模企業向けの会計ソフトで、基本的な財務会計と税務申告の機能を提供している。クラウド対応していないスタンドアロン型のバージョンが存在し、データはローカルに保存される。
JDL会計:主に会計事務所や中小企業向けのスタンドアロン型会計ソフト。導入企業にはオンプレミスで提供され、クラウド対応のないバージョンも販売されている。税理士との連携が取りやすい。
ソリマチ会計王:小規模・中小企業向けで、会計および経理業務に必要最低限の機能を備えたスタンドアロン型会計ソフト。導入コストが低く、パッケージ版で提供されている。
OBC勘定奉行 i(スタンダード版):中小企業向けのスタンドアロン型会計ソフトで、オンプレミスでの利用が可能。低価格で導入可能。
EPSON 財務応援:中堅中小企業向けに特化されており、特に財務会計や税務申告の基本的な機能をカバーしている。データ出力などの基本的な機能に問題がある。

▼連結決算やPMIを視野に入れた中堅企業向けの拡張機能を備えるソフト:
PCA会計:中堅企業向けに、基本の会計管理機能から連結決算までサポート。販売管理や給与管理システムとも連携可能。
勘定奉行:OBC社の製品で、規模の拡大に対応しやすく、連結決算機能が強化されている。各種業務システムと統合しやすく、カスタマイズの幅が広い。
マネーフォワードクラウド:連結決算や多拠点管理に対応でき、部門別の管理や予算策定、DX対応を含むERP統合型ソリューション。

【Plus】M&Aを検討している売主が気を付けるべきなのは、次の2点である。

1. 情報開示に耐えられる最低限の出力機能を持っているか
2. PMIに耐えられる最低限の高度機能を持っているか

1.情報開示という観点では、セルサイドのM&Aアドバイザーが仕訳単位で分析した上で、売主に有利となるプロフォーマ財務諸表を作成したり、調整EBITDAを計算したり、インフォメーションメモランダムQ&A資料リクエストといった初期的情報開示での情報収集・分析・加工に加え、事業DD財務DD税務DDにおいて要求される様々な詳細情報開示リクエストに対し、短時間で正確に財務データを出力できる基本的な機能を持っていることが望ましい。

2.PMIという観点では、買主がM&A実行後、買主グループの連結財務報告に対象企業を速やかに組み込むに際し、重大な接続コスト(バケツリレー、データ組換え、データ分割、データ補整(会計基準のグレードアップや親会社会計方針への統合)など)が生じない程度に外部接続性や柔軟性が担保されていることが望ましい。

【Plus】対象企業が使用している会計ソフトが、M&Aで不可欠な作業を効率化する機能を欠いていると、以下のような観点から売主に不利となるリスクがある。特に上場企業等での就労経験のない売主は、これを過剰に楽観視してしまい、結果として莫大な損害(貰えたはずの大金が指の間からすり抜ける)に耐えなければならなくなるケースが多いため要注意である。企業会計基準に準拠した財務諸表の監査内部統制監査に耐えられる会計高度化やデータ管理体制高度化には、かなりのコストがかかるからである。

・情報開示の遅延や計算ミスによる買主からの評価ダウンや疑心暗鬼
・財務データの再編成負担(会計基準移行、会計方針統一など)
・買収後の運用負担(バケツリレー等の接続コスト)

・財務諸表監査のリスク(適正意見に限定が付くなど)
・内部統制やコンプライアンスのリスク

【Plus】売主が事前に会計ソフトのレベルアップやDX化を図ることで、以下のようなメリットが得られる。

連結決算対応と会計自動化:親会社の会計ソフトがどの種類でも容易に接続しやすい会計ソフトにアップグレードし、財務データを迅速に統合できる体制を構築すること。これにより、買収後のPMIもスムーズになり、買主からの評価も高まる。
データ管理の一元化と分析強化:DX化により、財務データの一元化や、AI・BIツールを活用した財務分析を導入し、業績の可視化や分析が容易となり、より迅速かつ的確な意思決定をしやすくなることで、事業価値が高まる。
クラウド化でのリアルタイム共有:クラウドベースの会計ソフトを導入することで、財務情報のリアルタイム更新や遠隔からのアクセスが可能となり、M&Aの交渉段階での情報提供やPMI中のデータ連携を迅速化できる。

【Plus】M&Aアドバイザーの中には、各種会計ソフトに習熟し、M&A前後での会計ソフトの切替えを、クライアントの利益になるようにサポートできる人も少数だが存在する。優良M&Aアドバイザーであれば、売却準備支援の一環としてこのような手間のかかる作業を、不可欠な作業に絞り込んで一気に仕上げる手助けをしてくれる場合もある。そのため、できるだけ早めに相談してみることをお勧めする。株式価値が向上するのに連動して成功報酬も高まるため、少額報酬でサポートしてくれる可能性もある。

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