◆アモチゼーションとは、帳簿価額を時間経過とともに減少(Write Down)させていく会計上の償却の手続きのことを指す。具体的には、ローン債権、債券や無形資産(のれんを含む)を、約定弁済や一定の計算規則に従って規則的に減少させる際に使用される。
◆同じく時間経過とともに帳簿価額を減少させる減価償却(Depriciation)とほぼ同じ効果を持つが、減価償却は、有形固定資産の帳簿価額の減少に使用される点で異なる。
◆また、減損損失(Impairment Loss)も帳簿価額の減少手続きであるが、減損の兆候(業績悪化等)があり将来キャッシュフローの状況次第では、回収可能額(使用価値と売却可能額の高い方)まで一気に帳簿価額を減少させる点で性質が異なる。なお、減損損失は、有形固定資産、無形固定資産のいずれにも適用される。
【Plus】フルアモチやバルーン付きアモチ
全融資期間にわたって一定ペースで弁済する弁済方法を「フルアモチ」と呼び、フルアモチより小さな金額だけ支払い続け、最後に一括弁済(バルーン:風船)する方法を「バルーン付きアモチ」と呼ぶ。
【Plus】コーポレートファイナンスでのアモチゼーション
コーポレートファイナンスは、通常、大半が毎月の約定弁済を求めるローンであるため、このローン債権を持つ金融機関は、ローン債権のアマウント(元本総額)を規則的に減少させていくことになる。コーポレートローンは、相対的にリスクの低いローンであるため、余裕をもった弁済が可能になりやすい(銀行サイドはアマウントを減らしたくないので、好業績・堅牢財務なら、条件改善もしやすい)。
【Plus】LBOファイナンスでのアモチゼーション
LBOファイナンスのタームローンAは、通常、毎月の約定弁済を求められるローンであり、このローン債権を持つ金融機関からすると、ローン債権のアマウントが、規則的に減少していくことになる。LBOファイナンスは、ハイリスクなローンであるため、できるだけ早めに回収すべきとされる。借主からすると再投資可能な余剰キャッシュフローを吸い取られることで、資金的な余裕がなくなりやすい。