◆ブルーオーシャン戦略とは、競争が激化している既存市場(レッドオーシャン)を避け、未開拓の市場(ブルーオーシャン)を創造することで、高収益を実現する戦略である。これは、W・チャン・キムとレネ・モボルニュによって提唱された経営戦略理論であり、企業価値を効率よく増大させるには、競争相手の多い市場でのシェア争いではなく、新しい価値を高い価格で独占的に提供する方がよいと主張する。
◆経営者がブルーオーシャン戦略を導入する際の注意ポイント
▽参考にすべきこと
・既存の枠組み、過去の成功体験や他社の成功事例に囚われず、「新たな価値創造」にフォーカスし、顧客に受け入れられれば、 極めて有利な「独占企業の利益(高い収益率)」を得ることが可能となる。
・技術革新などの競争条件が激変するタイミングで「新たな価値創造」をスピーディーに実行すると成功しやすい。
・何らかの理由で巨大企業等のメインプレイヤーが手をつけない市場を狙うと長期間の高収益を享受しやすい。
・「高い参入障壁」を設けることができれば、長期間の高収益を維持できる 。
・差別化ポイントを明確に打ち出し「開拓者ブランド」を確立することでも長期の高収益の基盤となる。
▽注意すべきこと
・創造した価値を求める「顧客」が実は存在しない(存在しても購入しない)可能性がある。
・「参入障壁」がない(低い)場合、時間経過とともに「模倣リスク」が高まる。
・「技術革新や顧客ニーズの変化」を見誤ると、短命に終わる可能性がある。
【Plus】ニッチトップ企業は売り方次第で高額売却が可能
▽高バリュエーション:ニッチトップ企業は、長期間の高収益を維持できる企業であるため、M&A市場で高いバリュエーションで評価される可能性がある 。
▽模倣困難シナジー:「ニッチ市場 × 高シェア×高収益率」を成功させたニッチトップ企業は、模倣されにくいシナジー効果を創造したいM&A買主にとって魅力的な場合がある。
▽情報開示の品質:M&A時には、ニッチトップとしての市場支配力やブランド価値を的確にアピールすることが重要であある。高品質な情報開示や提案によって、合理的に「長期高収益を維持できる根拠」を説明し、「ニッチトップ効果」を財務的(定量的)に表示することが必要である。
▽売却準備:買主候補の買収目的を具体的に想定してアピールできるよう、バイサイドのDDプロバイダーによるディスカウント余地探しを搔い潜れるよう、適切な売却準備が、高額売却の鍵を握る。特に、ユニークネスは諸刃の剣であり、入念な売却準備が勝敗を分ける。
▽専門家起用:優良なM&Aアドバイザーを起用することで、成功確率と成功インパクトの両方(期待売却額)を効率よく向上させることができる。