◆BIツールとは、企業内外のデータを収集・統合・分析し、経営判断を支援するソフトウェア のことを指す。売上データ、顧客情報、財務指標、マーケティングデータなどを可視化し、経営の意思決定を迅速かつ正確に行うためのツールである。代表的なBIツールとして、Tableau、Power BI、Looker、Qlik Sense などがあり、企業の規模や業種に応じて適切なツールを選択することが重要である。
◆BIツールの導入によって、企業は 「経営の見える化」 を実現もしくは効率化できる。経営の見える化(Data-Driven Management) とは、企業内の情報をリアルタイムで収集・分析し、データに基づいた経営判断を行うことを指す。主な利用目的は以下のとおり。
▽売上のリアルタイム監視 :各店舗・各事業毎の売上状況をリアルタイムに把握
▽資金管理の可視化 :キャッシュフローや預金残高の状況をダッシュボードで管理
▽生産性の分析 :店舗や従業員ごとの労働生産性などの生産性データを把握
▽マーケティング分析 :広告ROI、CPA、CPO、CVR、LTV等を可視化
【Plus】企業価値を高めるBIツール利用法
BIツールの利用は、企業価値向上を支援する。情報(データ)の活用能力が競争優位性を左右する現代において、BIツールを有効に運用することで、EBITDA増大、倍率向上により、バリュエーションが高まることが見込める。以下のような具体的成果につながる利用が重要である。ただし、BIツールの一部の機能は、MicroSoftオフィス製品でも可能な機能の開発・保守をアウトソースしたものに過ぎないため、費用対効果を吟味することも重要である。データ連動を行うため、高機能カスタマイズ等で本格的なシステム開発を要する場合には費用対効果が高まりやすい。
▽キャッシュフロー増大(収入増大・支出削減):
・需要予測: 需要予測モデルの変数を自動連動させ、費用効率の高い施策を実施
・生産性改善:生産要素ごとの貢献度合いをタイムリーに把握し、士気向上などにつなげる
・収入最大化 :各プロダクト別の収益性を可視化し、最適な資源配分につなげる
・支出抑制 :部門・プロジェクト・プロダクト別のコスト構造を把握し、支出を合理化
▽予実管理・競争分析:
・事業計画予算との比較 :事業計画(予算)比較をタイムリーに行い、差異分析して次の手につなげる
・時系列データとの比較:過年度の同年月日と比較し、差異分析して次の手につなげる
・市場データとの比較:市場全体の情報を活用できる場合、差異分析をして対策を打つ
▽経営リスクの最小化:
・資金繰り予測 :キャッシュフロー分析を強化し、資金繰りの安定性を向上
・異常レポーティングの強化 :重要な現場の声等のレポーティングにより、異常を早期発見・早期対策