◆CMMは、消費者のニーズや嗜好に焦点を当て、どのような商品やサービスが市場での成功につながるか、どのような消費者が最適なターゲットか、を特定する。これは、広告やプロモーションに焦点を絞った狭義マーケティングではなく、商品自体の開発・改善を重要な要素として捉えており、消費者の反応を基にして、商品の市場適合性を最適化するためのアプローチである。
◆つまり、CMMは、広義マーケティング概念のもので、「商品やサービス自体の開発や改良」「ペルソナの再定義」を含めたマーケティング活動全体を分析するための手法である。一方、MMM(Marketing Mix Modeling)は、主に広告やプロモーションといったマーケティング要素が売上や利益に与える影響を分析する。しかし、その範囲は狭義マーケティング施策に限定され、因果関係はブラックボックス化しがちで、既存の商品やサービスに対する最適広告予算配分がゴールとなる。
【Plus】多額のマーケティング予算を投じたものの期待した成果が出ない事は少なくないはずである。担当者やコンサルタントの「商品のせいですね」という言い訳、初期指標(PV、CPOやCPAなど)の改善で終わってしまい、LTV向上やリピート顧客増加を通じた、肝心要のEBITDAやFCFの収益性・安定性・成長性の改善に貢献ゼロ、というケースが、狭義マーケティングの限界であり問題であった。
【Plus】M&A売主がCMMを活用することで、商品やサービスの市場適合性を評価し、売上増の切り口を発見できる。消費者ニーズに応じた広義マーケティング活動の改善を施すことで、より高い企業価値を実現することが可能となる。
【Plus】大企業向けの洗練された有料CMMツールがあるが、中堅中小企業の限られた予算でも実施可能である。ただし、最低限の統計知識やPCスキルは必須で、データ収集など多少の手間がかかる場合がある。M&A会社売却の成果への影響は大きいため、費用対効果が高いM&A会社売却準備の1つである。
【Plus】M&A売主は、CMMの成果を「見える化」し、どのような商品やサービスが、どのような消費者のニーズを満たしているか、またどうすれば今後の成長性が期待できるか、を強調した情報開示をすべきである。これにより、M&A買主は対象企業の成長ポテンシャルや競争力をより深く理解しやすくなる。
【Plus】M&A買主にとってCMMは、シナジー効果の最大化を目指し、消費者ニーズに応じた商品改良や新規開発を推進するために役立つデータを提供する。これにより「買収後の成長戦略をより効果的かつ効率的に実行できる」という期待を増大できる。