◆法人税等とは、法人を納税主体とする税金のうち、法人の所得を課税標準とする税金の総称である。法人税、地方特別法人税(所得割)、法人住民税(法人税割)および法人事業税(所得割)が含まれる。
【Plus】財務会計上の法人税等とM&Aバリュエーション上の法人税等は異なる場合がある
財務会計では「企業全体に係る法人税等」を計上するが、M&AバリュエーションのDCF法では「継続事業のみ・合理化後のキャッシュフローに対する法人税等」を使用する。つまり、財務会計の法人税等は確定値であり、M&Aバリュエーションの法人税等は調整値・試算値である。
財務会計上の法人税等は、P/Lの税引前利益の下、当期純利益の上の区分で「企業全体に対する実際に納税すべき法人税等」を表示する。一方、M&Aバリュエーションでは「買主が将来獲得可能なキャッシュフロー」を用いて算定するため、過大費用や一時費用等を調整したり、廃止予定事業に絡む損益を無いものと試算し、税前キャッシュフローを計算し、それに対応する支払うべき法人税等を計算する。
【Plus】実効税率の設定次第でバリュエーション評価額が大きく変わる可能性
DCF法では、将来期間のNOPLATを計算する過程で、法人税等を考慮する。NOPLATのスタートである税前利益には、既存の継続事業だけでなく新規事業の分も含めるが、廃止予定事業の分は含めない。そして、これらに対する法人税等は、これらに対して「あるべき実効税率」を掛けて計算することになる。法人税法等で規定される税率をそのまま適用するのではなく、各種税制優遇等も考慮して「あるべき実効税率」を設定するのである。税務に精通していない人が計算するとザックリ30%等と置かれてしまうが、これが仮に5%違うだけで、事業価値は自動的に5%も変わってくる。つまり、M&Aアドバイザー等に支払う成功報酬が実質的に浮くか、実質的に倍増するかといった重要論点なのである。できるだけ税務に強い優良なM&Aアドバイザーを起用すべきである。