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M&A用語+

M&A用語は専門的なものが多く、誤用もされやすく、要注意です。
売却価格等の条件は、「取引関係者による評価」で決まります。
売主が成行任せは禁物で「買主サイドの評価を想定した準備」が勝敗を分けるのです。
取引関係者は、買主本人(買主の社内でも賛成派、反対派がいることも)だけではありません。
専門家(会計士、税理士、弁護士、コンサルタントが精査結果や価値評価を買主に報告)や、
銀行(買収資金の融資可否判断や融資条件を検討)等がどう評価するか、などなど。
買主サイドでもそれぞれの利益やリスクがあって、それぞれの主張があるのです。
正確な用語理解が、クライアント様の利益最大化への第一歩となります。
日本初の売主支援専業のM&A助言会社として、『売主様のためのM&A用語集』をご用意しました。
用語の意味に加え、知っておくべき豆知識をご紹介してますのでぜひ参考にしてください。

取締役委託契約(Director Service Agreement)

◆取締役委託契約とは、M&A取引成約時に、売主でもある取締役(及び売主でないが重要な取締役)が引き続き対象企業の経営に関与する場合に、買主が経営権を有する予定の対象企業と取締役との間で締結される契約である。この契約では、取締役としての業務内容、責任、報酬、任期、守秘義務、競業避止義務などが明記される。特に、M&A後の経営権移行期におけるスムーズな引き継ぎや経営体制の安定を図るために重要な契約である。

◆ 一定期間の引継ぎを経て引退予定の取締役との間で定める一般的な内容は以下のとおり。

▽引継ぎ期間と役割:引継ぎ期間(引退予定日)を明確に規定。後継経営者(生え抜き役員、買主から派遣または雇い入れる予定の外部プロ経営者等)への円滑な引継ぎに責任を負わせる。
▽具体的な引継ぎ業務:社内キーパーソンや主要顧客・取引先との関係構築のサポートの他、業務プロセスや経営状況、過去の経緯や注意点などについて詳細に説明し、徐々に経営管理業務を後継経営者に移管し、引継ぎ期間の終了時点で問題が生じない経営管理体制を構築する。
▽報酬とインセンティブ:引継ぎ期間中の取締役報酬の額を規定。成功した引継ぎ後に支払われる追加報酬やインセンティブ(例:アーンアウトの一部として)。
▽守秘義務:M&A後も一定期間の守秘義務を課す。
▽競業避止義務:対象企業と競合する事業への参加(取締役就任、融資や出資等)やキーパーソンの引き抜きを禁止。

◆ 今後も経営を継続予定の取締役との間で定める一般的な内容は以下のとおり。

▽任期:新経営体制下での任期を定める。
▽業務範囲の明確化:職務権限の範囲(事後報告や事前承認等)を明記。一部業務(例:財務管理やマーケティング)を買主が主導する場合、その範囲を具体的に規定。
▽報酬:固定報酬制度による他、業績目標達成に応じたパフォーマンス連動型報酬制度を設定(営業利益やEBITDA等の目標値を設定し、それに応じた報酬体系を設けるなど。役員報酬と別にストックオプションを付与する場合もある)。
▽退任条件:経営者が中途退任する場合の条件やペナルティを規定。

◆ 違反時のペナルティ

▽報酬の減額または返還:引継ぎ義務や業務範囲を遂行しない場合、報酬の減額や返還を求める条項を設ける。
▽損害賠償責任:守秘義務や競業避止義務に違反した場合、違約金や損害賠償を請求できる条項を設定。

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