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M&A用語+

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M&A用語+

M&A用語は専門的なものが多く、誤用もされやすく、要注意です。
売却価格等の条件は、「取引関係者による評価」で決まります。
売主が成行任せは禁物で「買主サイドの評価を想定した準備」が勝敗を分けるのです。
取引関係者は、買主本人(買主の社内でも賛成派、反対派がいることも)だけではありません。
専門家(会計士、税理士、弁護士、コンサルタントが精査結果や価値評価を買主に報告)や、
銀行(買収資金の融資可否判断や融資条件を検討)等がどう評価するか、などなど。
買主サイドでもそれぞれの利益やリスクがあって、それぞれの主張があるのです。
正確な用語理解が、クライアント様の利益最大化への第一歩となります。
日本初の売主支援専業のM&A助言会社として、『売主様のためのM&A用語集』をご用意しました。
用語の意味に加え、知っておくべき豆知識をご紹介してますのでぜひ参考にしてください。

金融環境分析(Financial Environment Analysis)

金融環境分析とは、金融市場の動向を把握し、企業の最適な意思決定の前提を確認することを指す。特に金利・為替・信用市場・株式市場などのレベル(水準)やモメンタム(方向感)は、企業の資金調達やM&Aの成約条件に大きく影響を与えるため、特にオーナー社長(投資家+経営者)にとって重要である。金融市場の動向を理解することで、投資・撤退や買収・売却の最適なタイミングを見極め、取引条件を好条件で交渉しやすくなる。

経営者は、以下の金融理論を押さえておくべきである。

金融理論概要影響する要素
貨幣数量説通貨供給量と物価水準の関係を示す・インフレ率、金利、金融政策
フィッシャー方程式実質金利 = 名目金利 - 期待インフレ率・資金調達コスト
・価格戦略・コスト戦略
流動性の罠金利がゼロに近いと金融政策の効果が限定的になる・金融政策の期待度
リスクとリターンのトレードオフ高リスクの投資ほど高リターンが期待される・事業リスクと事業リターン
・投資リスクと投資リターン
・財務リスクと財務リターン
効率的市場仮説市場価格は常に利用可能な情報を反映する(反論は多い)・CAPMの基礎理論
・中長期的な収斂水準
CAPM(資本資産評価モデル)株式のリスクと期待リターンの関係を示す・M&A投資のリスク評価
DCF法割引率の理論的背景
DCF法とWACC(加重平均資本コスト)リスク資産価値評価の基本手法M&Aバリュエーション
・プロジェクト評価
・不動産価格鑑定
信用スプレッド社債利回り等と無リスク利子率の差で信用リスクを測る・企業の信用力
・資金調達環境(クレジットサイクル)

金融市場の変化を把握し、適切な経営判断を行うために、以下の金融指標を定期的にチェックすべきである。

指標意味影響
政策金利(日銀、FRBなど)中央銀行が市場金利をコントロールするための基準金利
(米国金利変動は、為替や直接投資を通じ、日本金融市場にも大きな影響)
・企業の資金調達コスト
・M&A買収資金コスト
長短金利差(イールドカーブ)長期金利と短期金利の差・逆イールド(景気後退の先行指標)
インフレ率(CPI、PPI)物価の上昇率・企業のコスト負担
・金利上昇リスク
・消費者の行動変化
為替レート(USD/JPYなど)2通貨間の交換レート・貿易企業の採算性変化
クロスボーダーM&Aの増減
企業の信用スプレッド社債利回りと国債利回りの差・企業の信用リスクのサイクル
・銀行等の貸出姿勢のサイクル
・借入金利の水準
株価指数(日経平均、S&P500)株式市場全体の動向・類似上場企業のEBITDA倍率
・M&A市場の活況度サイクル
VIX指数(恐怖指数)市場のボラティリティを示す指標・投資家のリスクマインド(リスクオン・リスクオフ)
マネーサプライ(M2+CD貨幣供給量(現預金+定期性預金+譲渡性預金)・資金調達環境
・景気動向

金融環境を適切に分析することで、企業経営者やM&A売主・買主は以下のようなメリットを得られる。

▽資金調達コストの最適化

・金利水準や信用スプレッドを把握することで、最も有利なタイミングで借入や社債発行を行える。
・低金利時にはM&A資金調達がしやすく、買主が強気になることで企業価値評価も高まりやすい。

M&Aのタイミング最適化

・M&A市場が活況な時期(不況で安値売却が多発してもM&A件数が増えるため、活況度の見極めには専門家の意見を参考にすべき)には、売却価格が高騰しやすくなるため、売主にとって有利な条件で売却できる。
・景気後退期には、M&A取引のバリュエーションが低下しやすい。売却タイミングを延期するかわりに、丁寧な売却準備を進めることが望ましい。

クロスボーダーM&Aのタイミング調整

・為替レート水準を中長期的な視点から評価することで、最適なタイミングで海外企業とのM&A(インバウンドM&AまたはアウトバウンドM&A)を行える。
・例えば、円安時には、日本企業を対象企業とした海外企業による買収(インバウンドM&A)が、外国人から見れば割安に見えるため、日本円ベースで見ると有利な条件で売却しやすくなる。

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