◆ライセンス契約とは、知的財産権(特許、商標、著作権、技術ノウハウなど)を保有する企業(ライセンサー)が、第三者(ライセンシー)に対して一定の条件で使用許諾を与える契約である。ライセンシーはライセンス料(ロイヤルティ)を支払うことで、その知的財産を使用できる。ライセンス契約は、収益の多様化や事業拡大、リスク分散を目的として活用される。
【Plus】企業価値を向上するためのライセンス契約の有効活用法
収益源の多様化:ライセンス契約によって、自社の知的財産権を外部企業に提供することで、使用料やロイヤルティが継続的に発生し、安定した収益を生み出せる。
市場拡大とブランド強化:自社での市場開拓が難しい地域や業界において、他社の販路やブランド力を活用して進出することができる。これにより、事業拡大が迅速に行える。
研究開発の効率化:技術や特許のライセンスを受けることで、スクラッチからの開発コストを抑え、スピーディーに商品化や事業化が可能となる。特に成長市場での競争力強化に寄与する。
休眠知的財産の収益化:自社で使っていない特許や技術を他社にライセンスすることで、眠っている資産を収益化し、企業価値を引き上げることができる。
【Plus】M&Aバリュエーションで高い評価を得るためのライセンス契約のアピール方法
安定したロイヤルティ収入の提示:過去数年分のライセンス収入の実績を開示し、継続性と成長性をアピールする。新規ライセンシー候補や長期契約がある場合は、それらを強調し、将来の安定収益源として提示する。
競争優位性のアピール:自社独自の技術やブランドが、競合他社との差別化要因であることを示す。
ライセンス契約が競合企業の市場参入や競争力を阻害している場合、それを市場シェアの維持要因として説明する。
グローバル展開の成功例:海外企業へのライセンス提供事例や、異業種とのコラボレーション実績を示し、事業の柔軟な成長性を強調する。
シナジー効果の提示:M&A後、買主企業の既存事業とのシナジーが期待できる場合、それを具体的に説明する。特に買主が新規市場に参入して成功する機会がある場合、交渉が有利になる。
【Plus】M&A買主による法務デューデリジェンス(DD)でマイナス評価を避けるための売却準備
契約内容の精査と整理:ライセンス契約の条項(使用範囲、地域、期間、独占権など)を整理し、不明瞭な部分や矛盾がないか確認する。契約更新のタイミングや終了条件が明確かどうかもチェックする。
サブライセンス契約の確認:自社がライセンスを受けている知的財産をさらに第三者にサブライセンスしている場合は、その権利関係が明確であることを示す必要がある。権利が曖昧だと、買主にリスク要因として捉えられる。
独占ライセンス契約の制限条項:他の企業に独占ライセンスを提供している場合、それが自社の事業展開を制約していないか確認する。特に将来の収益機会を制限する契約がある場合は、解除条項や条件を事前に見直しておく。
知的財産の有効性と更新状況:ライセンスしている特許や商標の有効期限や更新状況を確認し、M&A交渉で問題にならないよう整備しておく。知的財産権の一部が失効または期限到来が近い場合は、速やかに再登録や更新手続きを行う。
係争リスクの解消:知的財産に関して過去に係争(訴訟や紛争)があった場合は、その顛末を明確にし、リスクが解消されていることを証明する。係争中の案件がある場合は、その進捗状況を正確に報告する。