◆支配株主とは、株式会社の経営方針を実質的に決定できる株主を指す。通常、50%超の株式を保有する株主が支配株主と見なされるが、実質的な経営支配力を持つ場合は、50%以下の持株比率でも支配株主と認定される。
◆50%超の株式を保有していれば、確実に株主総会普通決議で意見を通すことができる。つまり、取締役を自分で選任できる。取締役を自由に選任できるならば、代表取締役も自由に選任できることになる。支配株主は、方針の反する既存取締役を解任しつつ、方針の一致する取締役を派遣し、代表取締役に就任することも可能である。
◆連結会計上の親会社の定義は以下のとおり、実質的支配基準となっている。連結逃れを禁止するべく、事実上の支配力があれば、株式保有比率が低くても親会社と認定される。
▽持株比率50%超(過半数支配):50%以上の議決権を持っている場合、親会社と判断される。
▽持株比率50%以下(実質支配):50%以下でも、支配力を行使できる状態にある場合、親会社と見なされる。持株比率が低くても、経営を支配できる状況であれば、親会社と見なされる。
【Plus】第三者割当増資の際に要注意
なんらかの理由で第三者割当増資を実施する場合、外部の新株引受人に「大きな持株割合」を提供せざるを得ない場合がある。持株割合が50%以下で、既存株主の意見を将来にわたって完全一致できるなら、既存株主が支配し続けられるが、時間経過とともに株式が別の者に異動(例えば相続)したり、または少数の者が裏切れば、外部者が実質支配することになってしまうリスクがある。