◆ノーコードプログラミングとは、従来のプログラミング言語を使用せず、視覚的なドラッグアンドドロップのインターフェースやテンプレートを使ってアプリケーションやソフトウェアを構築する手法である。
◆ノーコードでも、当然裏ではプログラミング言語が使用されており、頻度高く利用されるコードを抽出してGUIに乗せているだけである。つまり、パターン処理だけで済む場合には非常に有効であり、いかにパターン処理だけで済むように、業務を逆算して再設計できるかが肝要となる。
◆ノーコードの活用により、以下のメリットがある。
・従来のプログラム開発と比べ、開発コストを大幅削減でき、開発・改修に要する時間も短縮される。
・非技術者(例えば、営業、マーケティング、HRなどの部門)でも開発でき、既存システムに手軽に統合できるツールも多いため、現場ニーズに応じた調整も可能。
◆代表的なノーコードプログラミングプラットフォームとその特徴
・バブル(Bubble):ウェブアプリ構築に特化。複雑アプリもスケーラブルに。DB管理やAPI連携も容易。
・アウトシステムズ(OutSystems):既存システムとの統合がスムーズ。高いセキュリティも提供。
・Zapier:多様なアプリ間での自動化に特化。ワークフローを簡単に作成、業務プロセスを自動化できる。
【Plus】M&A売主にとって、ノーコードプログラミングの活用は、企業価値向上や経営効率化の観点から有効である。業務効率化とコスト削減の証明、迅速なプロトタイピングと市場テスト、拡張に柔軟なシステム構築といった点は、M&A買主に対するアピールポイントになりうる。
【Plus】M&A交渉において、ノーコードプログラミングに関する情報を開示する際、依存度の透明性、データセキュリティとプライバシー対策、サードパーティーとの統合の管理などについてM&A買主に安心感を与える説明が必要である。「便利になればなるほど危険も潜む」ため、M&A買主の立場になって心配を解消させる配慮が、会社を高く売りたいM&A売主に求められる。
【Plus】M&A買主にとってのノーコード活用企業を買収するメリットとしては、素早い業務改善やシステム拡張の可能性、開発コスト削減などを挙げられる。つまり、大規模なIT投資をせずとも、新商品投入や新しい販売手法といったシナジー効果発現のための施策を、小さなコストでテストできる。
【Plus】一方、M&A買主が感じるリスクとしては、依存度が高い場合の脆弱性やセキュリティなどを挙げられる。依存度が高ければ「そのプラットフォームがサービス停止したり大幅変更したら?」という心配が生まれるし、M&A買主企業の多くは上場会社クラスであるから「セキュリティ対策は十分か?個人情報漏洩のリスクはどの程度か?」といった疑問にM&A売主は答えられなければならない。つまり「どのプラットフォームを使うかといった最初の段階から、様々なリスクを検討しておく」「作った、ちゃんと動いてる、OK」ではなく、都度都度、面倒でもドキュメントを丁寧に残す」という売却準備が大事ということである。