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M&A用語+

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M&A用語+

M&A用語は専門的なものが多く、誤用もされやすく、要注意です。
売却価格等の条件は、「取引関係者による評価」で決まります。
売主が成行任せは禁物で「買主サイドの評価を想定した準備」が勝敗を分けるのです。
取引関係者は、買主本人(買主の社内でも賛成派、反対派がいることも)だけではありません。
専門家(会計士、税理士、弁護士、コンサルタントが精査結果や価値評価を買主に報告)や、
銀行(買収資金の融資可否判断や融資条件を検討)等がどう評価するか、などなど。
買主サイドでもそれぞれの利益やリスクがあって、それぞれの主張があるのです。
正確な用語理解が、クライアント様の利益最大化への第一歩となります。
日本初の売主支援専業のM&A助言会社として、『売主様のためのM&A用語集』をご用意しました。
用語の意味に加え、知っておくべき豆知識をご紹介してますのでぜひ参考にしてください。

ポートフォリオ理論(Portfolio Theory)

ポートフォリオ理論とは、複数の事業(又は事業の中の商品・サービス)の組み合わせを最適化することで、企業全体のリスクを抑えつつ、リターンを高めるための「複数の事業を擁する大企業向け、特にM&A買主による新事業買収やM&A売主によるノンコア事業売却で利用される事業ポートフォリオ最適化アプローチ」である。プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント理論(PPM)としても有名。

◆元々は投資理論として発展したポートフォリオ概念であるが、企業経営においても「事業の組み合わせを最適化し、リスクを抑制しながらリターンを高める(つまり、割引率(リスク)を抑えながら、EBITDAFCF(リターン)を最大化する、結果、事業価値企業価値株式価値を最大化する)」ための手法として活用される。代表的なフレームワークとして「BCGマトリクス」や「GE/マッキンゼーマトリクス」などがあり、経営資源配分の戦略に用いられる。安定している既存市場ではBCGマトリックスが、新市場や自社独自の強みを考慮すべき場合はGE/マッキンゼーマトリクスが向いている。

ポートフォリオ理論とリソースベーストビュー理論(Resource-Based View, RBV)は、視座の異なる経営戦略アプローチである。ポートフォリオ理論は外部環境を重視し、市場の成長性や競争環境を踏まえ、どの事業に投資するかを判断するトップダウン・アプローチである。一方、RBVは内部リソースを重視し、自社の独自性を競争優位につなげる戦略を考えるボトムアップ・アプローチである。前者は大企業向け、後者は大企業にも中堅中小企業にも向いている理論である。GE/マッキンゼーマトリクスは、中間的なアプローチであるが、定性的な評価に主観が入り込みやすく、使い方が難しい点が難点である。

項目ポートフォリオ理論RBV
基本概念事業の組み合わせを最適化し、リスク分散と成長を両立自社の独自リソース(強み)を活かして競争優位を築く
視点市場や外部環境を基に事業を評価・選択内部リソース を基に競争力を強化
戦略アプローチ事業ポートフォリオの最適化(分散効果)コア・コンピタンスの強化
適用場面多角化経営・M&A・事業売却・新規事業開発技術開発・ブランディング・組織能力の向上
代表的なフレームワークBCGマトリックス、GEマトリックスVRIOフレームワーク、コア・コンピタンス理論

◆経営者がポートフォリオ理論を有効活用できる場面には以下のようなものがある

事業ポートフォリオ最適化:既存事業の成長性が低下した際、既存事業のテコ入れや新規事業の投入により、事業ポートフォリオを最適化する。
資源配分の最適化:限られた経営資源を縮小・撤退事業から成長事業にシフトする。
M&Aを活用した事業拡大:既存ポートフォリオに不足している事業領域をM&Aによって獲得し、企業グループ全体のリスク・リターン特性を改善する。

◆中堅中小企業の経営者がポートフォリオ理論を活用する際の注意点には以下のようなものがある。

集中戦略の方が合理的:中堅中小企業は、大企業ほど資本力がないため、「多角化による分散効果」を狙うより「競争優位性を持つ分野への選択と集中」の方が合理的なケースが多い。
意思決定のスピードが求められる:市場変化が激しい現代では、ポートフォリオ戦略を採用するにしても、迅速な意思決定と実行がなければ効果を期待できなくなる。
過去データの過信に注意:過去データから事業ポートフォリオを再構築し、分散効果を最適化できたとしても、あくまでも一時的な最適化に過ぎない点は要注意である。時間経過とともに撤退事業が花を開かせる環境が整ったり、成長を見込んだ事業が新技術の登場によって壊滅的打撃を受ける可能性もある。

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