◆プライベート・エクイティ・ファンドとは、M&A取引における買主の分類のうち、フィナンシャル・バイヤーの代表的なファンド形態である。未上場株式の経営権を取得し、数年間の企業価値向上施策の実行やレバレッジ効果によって株式価値を増大させ、イグジット時にキャピタルゲインを獲得することを目的としている。

【Plus】プライベート・エクイティ・ファンドに売るメリット・デメリット
▽メリット:
・日本の中堅中小M&A市場では、PEファンドの方が、ストラテジック・バイヤーよりも高い評価額を提示するケースが多い。集めた資金を確実に投資に回さねばならず、目標利回りを確保できればよいためである。
・多段階株式譲渡スキームによって、トータルの売却額を増大させやすい。
・投資ファンドがIPOイグジットにチャレンジする場合、多段階株式譲渡スキームを組み合わせることで、トータルの売却額をさらに増大させやすい。
・経営者をリスペクトしてくれるケースが多い。
・役員・従業員の雇用継続が期待しやすい。
▽デメリット:
・PEファンドの役職員は頭脳明晰であるものの、経営経験がないコンサルタント出身者や士業出身者が多い。そのため、事業経営の勘所については、売主が丁寧に説明する必要がある。
・買収後の経営管理面の指示が細かく、会議が多い。
・ロールアップ(追加買収)の可能性はあるが、最後まで単独投資になることもある。その場合、シナジー効果は期待できない。
・一部の人に投資ファンドに対する偏向報道の影響が残っており、アレルギー反応を示すリスクがある。