◆求人採用とは、企業が業務を遂行するために新たな労働力(従業員)を確保するプロセスを指す。適切な能力を有する人材を必要な人数分採用することで、企業全体の業務遂行能力を高めることを目的とする。
◆ 企業が労働力(従業員)を新たに調達するプロセス(求人→採用前評価→(試用期間→)本採用)とそれぞれのプロセスの特徴、メリット・デメリットは以下のとおり。
▽ 求人の方法とそれぞれの特徴、メリット・デメリット:
求人方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
求人広告 | 求人媒体に広告を掲載し募集を行う | 広く告知でき、短期間で多くの応募を集めやすい | コストがかかり、応募者の質を確保しにくい |
人材紹介会社 | 人材紹介会社を通じ、条件に合致する人材を紹介してもらう | 候補者のスクリーニングが事前に行われるため、ミスマッチを減らせる | 紹介手数料が高額なケースがある |
リファラル採用 | 既存従業員の紹介によって採用を行う | 信頼性の高い候補者が集まりやすく、離職率が低い | 紹介数が限られ、必要な時期に採用できるとは限らない |
アルムナイ採用 | 一度会社を退職した人材に復帰を声掛けする | 即戦力であることが確実な人材を採用でき、求人コストもかからない | 安定的な採用方法ではない |
自社採用ページ | 企業HPの採用ページを通じ応募を受け付ける | 求人コストがかからない | アクセスが少ない場合が多い |
ダイレクトリクルーティング | SNS等を通じ、直接候補者に入社を呼びかける | 特定の能力を持つと思われる人材に直接アプローチでき、求人コストもかからない | 採用企業のブランドや突出した特徴がないと結果が出にくい |
ハローワーク | 職業安定所を通じて求職者とマッチングを行う | 無料で掲載できるため求人コストがかからない | 求人職種とフィットした人材が見つかる可能性が不透明 |
▽ 面接・試験・レファレンスの方法と特徴、メリット・デメリット:
評価方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
書類選考 | 履歴書・職務経歴書の記載内容によって人材の能力や適性などを評価 | 短時間で基本情報を把握できる | 書類に記載できない部分が重要な場合や、書類に記載されている内容と異なるリスクがある |
面接 | 応募者と対面で質問し、能力や適性を評価 | コミュニケーション能力や人間性の一部を評価できる | 評価が面接者の主観に偏りやすく、短時間の面接で評価できることに限りがある |
適性検査 | 性格や適性を測定できるテストを実施 | 客観データを基礎に適正等を評価できる | テスト内容の品質が不十分だとミスジャッジの原因となる |
筆記試験 | 業務知識やスキルに関する筆記試験を実施 | 業務遂行能力の一部を客観的に評価できる | 試験内容の品質が不十分だとミスジャッジの原因となる |
スキルテスト | 業務スキルを実演させ評価する | 実際のスキルを確認できる | 長時間かかる作業の場合には適用が難しい |
リファレンスチェック | 過去の勤務先や推薦者からの評価を確認 | 実際の業務遂行能力や勤務態度等を把握できる場合がある | 確認する相手の主観にに偏りやすく、客観性に欠ける |
▽ 試用期間の方法とメリット・デメリット:
試用期間 | 特徴 | メリット | デメリット |
短期試用(1~2か月) | 短期間で適正を見極め、早期に本採用すべきか決定 | 迅速な本採用を好む応募者の応募が増えやすい | 適性判断で失敗するリスクがある |
標準試用(3~6か月前後) | 一般的な試用期間 | 業務遂行能力、勤務態度、チームワーク等を具体的に確認できる | 3か月の試用期間内に生じなかった事態で重要な問題を持つリスクは残る |
長期試用(7~12か月) | 慎重に適性を判断(重要性の高い職務等) | 十分な期間をかけて能力等を確認できる | 長期の試用期間を嫌って有能な応募者が減るリスクがある |
【Plus】従業員が実際には貢献しないリスクを緩和する方法
▽ 採用前のスクリーニングの徹底:
・ 面接だけでなく、スキルテストや適性検査を導入する
・ レファレンスチェックを行い、過去の実績や職場での評価を確認する
・ 試用期間を戦略的に活用し、業務遂行能力と職場適応性を見極める
▽ 採用後の適切な人事管理:
・ KPIを明確にし、成果を定量評価できる制度を整備する
・ 試用期間終了前に面談を実施し、適性や改善点をフィードバックする
・ 実際の成果や勤務態度等に関する当初期待とのギャップが大きい場合、試用期間内に解雇する
▽ 成果と報酬の連動:
・ 成果に応じた報酬体系の導入
・ 試用期間中の評価を本採用時の給与設定に反映