◆アンケート調査は、事前に用意した質問(主に「選択」で済むクローズドクエスチョンにしつつ、「フリー回答」のオープンクエスチョンを含む場合も多い)を用いて、消費者や従業員の嗜好、行動、意見などのデータを収集する手法である。この手法は、マーケティング戦略や人事戦略の策定における重要な参考情報として広く用いられている。調査方法は、オンライン、郵送、電話、対面などさまざまな方法で実施され、定量的・定性的なデータを収集する。
◆アンケート調査は、有効な場合も多いものの、一方で限界もありミスリードのリスクがある。質問設計の失敗、低い回答率(偏った回答)などの他、回答者の大半はニーズやペインを抽象化・言語化したり、ソリューション考案に不足した人たちであり、漠然とした満足回答や表面的なクレームしか入手できない場合が多い。つまり、それを前提とし、実施方法を十分に吟味すべきである。自作自演にならないようアンケート担当者と検証者を別にするなどの工夫も不可欠である。
◆アンケート調査を低コストで実施するためには、ツールや手法を工夫し、時間とリソースを最小限に抑えることが重要である。デジタルプラットフォーム(Googleフォーム等)などを活用することで、コストを抑えながら効率的なデータ収集が可能である。
【Plus】M&A売主は、対象企業を高く売りたいと思うなら、対象企業の「顧客の声」「従業員の声」を収集分析し、企業価値向上に役立てることが重要となる。そんな必要なく経営は順調という会社の経営者であっても、M&A会社売却に臨むのでれば、どう評価されていて、改善すべき課題としてどのようなものがあるか、を「客観的に外部に示せる情報」として把握しておくべきだからである。
【Plus】できればM&A会社売却の準備を早めに始め(できれば数年前から)、ネガティブな声こそ大事に取り上げ、実際に改善に役立て(運が良ければ、リードユーザー理論の機会を獲得し)、M&A交渉が開始されるタイミングには企業価値の高さを証明するポジティブ材料として使いたいところである。
【Plus】M&A買主にとっては、アンケート調査の結果の情報は、シナジー施策のインパクトや実現可能性を高めるために有益である。PMI戦略を策定する際、従業員や顧客の声を反映させることで、より現実的で効果的なアプローチが取れるためである。