◆節税価値とは、レバレッジに伴い生じる支払利息が損金算入可能であり、納税額を減少させることから、その節税効果の価値を算出したものである。将来期間における予想節税額の現在価値という概念である。
◆DCF法による株式価値算定の実務上、レバレッジについて一定の仮定を置く。つまり、エンタープライズDCF法(WACC法)であれば、レバレッジ率{有利子負債+株式価値)÷株式価値}が将来に亘り一定で、会社は徐々に成長していく前提を置くのが通常であるため、有利子負債が完済されることはなく、企業規模の増大とともに増加する(実質的に返済しない)とする。WACCの計算において節税価値が含まれるようにWACCを減少させるのである。下記の(1-税率)という部分が節税価値を反映している。

◆一方、APV法であれば、レバレッジ率がゼロ(調達資本の全てが株主資本)という仮定を置き、割引率はアンレバード株主資本コストを使用する。しかし、現実にはレバレッジによる節税効果が見込めるため、別途「節税価値」を金額として計算する。具体的には以下のような計算をする。
