Knowledge

山頂への道標

TOP

→

山頂への道標

→

投資銀行の肩書って意味不明ですよね

2018/1/30

M&Aのチーム管理

投資銀行の肩書って意味不明ですよね

投資銀行では、若い青年なのに副社長(ヴァイス・プレジデント)などという肩書を持つ人がたくさんいます。副社長よりもディレクターの方が偉いというのも日本人としては不思議な感覚です。

今回は投資銀行のタイトルの上下関係と個々タイトルに求められるスキルレベルについて解説したいと思います。似たような職階を設けている投資銀行独立系M&Aアドバイザリーファームに所属する人のタイトルについて、理解いただけると思います。

外資系投資銀行が担当するような巨大なM&A案件においてはプロジェクト・チームの人数が二桁となることもあります。それだけセルサイド企業の内容を正しく理解し、セルサイド企業のオーナーシップを獲得するメリットをバイサイドに伝えるための準備や、数多くのバイサイド候補との交渉同時進行(FAならではの競争入札(ビッド))に、膨大な労力がかかるということです。

しかし、中堅・中小企業、特に売上高が10億円以内の中小企業規模であれば、1人の熟練した担当者をアサインし、すべてを統括しつつ、緻密な作業の大半をこなすことが、費用効率がよく、しかも成果の最大化にもつながります。連続徹夜も可能な体力のあるDクラス以上が、中小企業M&Aの成功を導く伝道者となります。

投資銀行内でのタイトル構造

MD: Managing Director
Dとしての実績を積み、プロジェクトリーダーとして複数のメンバーの進捗管理(管理者)として機能発揮できる人材。
通常10年以上のM&Aバンカー経験を積んだ者から選別されることが多い。
最終的な案件責任者として1名がアサイン(任命)される。

D: Director
通常7年以上の投資銀行レベルの業務経験を有し、自らが主担当として豊富な成功を経験したものがVPから選ばれる。
実質的な案件責任者として1名程度がアサイン(任命)される。
主要業務が、案件執行(エグゼキューション)から案件開拓(ソーシング)に移るのがDから。

VP: Vice President
通常5年以上の投資銀行レベルのM&A業務経験を有し、専門性を要求される作業(Information Memorandumの作成等)。
外部とのコンタクトの経験(一定程度までの交渉サポート等)を積み始める。
大半の案件執行を1人で処理できるクラス。

A:Associate
2年程度の単純な作業経験を積み、ある程度専門知識を要求される単純な作業(Pitch book等の作成)。
外部とのコンタクトの経験(バイサイドとのアポ取り等)を積み始める。

A:Analyst
比較的単純な作業(バイサイド候補のロングリスト作成等)のみ。

投資銀行での採用条件

新卒入社条件:
経営学、財務・税務会計、企業法務等についての専門知識を有する一流大学卒・海外大学MBA出身者など

中途入社条件:
年齢、資格や学歴に加え、タイトルレベルに要求される実務経験実績

弊社SCAのタイトル

弊社(シェルパ・キャピタル・アドバイザリー株式会社)では、基本的に1人のM&Aプロが案件を最初から最後まで、責任をもって実行するスタイルとしており、不必要に重要な情報が担当者の頭から抜け落ちるなどといったリスクを避けるためプロジェクト・チームの人数を極めて限定的にしており、基本的にはD1名で全行程を実施することにしています。すなわち、すべての状況が1人の主担当者の頭に入っている状態が100%確実にキープされるというクライアント様にとってのメリットがあるアサイン構造を採用しています。

中堅中小企業のセルサイドに特化したスタイルであるがゆえに可能な職階制度です。そのため弊社のDは全員が10年以上のM&A実務経験(しかも自ら起業をした経験者が中心)を有していますが、MDは置いておりません。当然のことながら経験が不十分なVP以下を主担当者にすることはありません。また、弊社は中堅中小企業のM&A、しかもセルサイド支援特化しており、1人が1件ずつ、丁寧にサポートをすれば最低限の単純作業等を除き、すべてを1人のDが担当する形が最もセルサイドの期待に応えられると考えているためこのような体制にしています。

ちなみにこのような仕組みは、代表の稲村光威が過去に在籍した会社の様々な法人の中で特に優れた仕組みを組合せています。彼は、巨大金融機関、外資系、小規模職堅気系M&Aハウスといった企業風土の違い、銀行・士業系(守り)、証券(攻め)といったリスクテイクリターン追求姿勢の違い、上場企業非上場企業も、さらには投資ファンド投資先企業にも在籍していたことがあるので、内部の違いもよく知っているのです。