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売り手にとって最適なM&A助言会社を合理的に選ぶ方法(1/4)

2018/9/14

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売り手にとって最適なM&A助言会社を合理的に選ぶ方法(1/4)

M&A助言会社はどこも同じではありません。実は、色々なタイプがいて、得意分野、苦手分野、経済的しがらみ等を持っています。間違いなく、選べることは良い事だと思います。問題は、セルサイド(売り手)がM&Aの舞台裏を普通ほとんど知らないこと、選び方を知らないというだけで残念な結果を迎えることが少なくないということです。

M&A助言会社選びは、セルサイドにとって『一番最初に来るのに、結果を大きく左右する最重要ポイント』であるため、M&A助言という仕事の「本質」を深く理解いただく必要があると考え、詰め込んだ結果、かなりの長文となっていますが、真剣にM&Aによる会社売却を検討されているセルサイドオーナー様には、完全読破を強くお勧めします。

まず、M&A業者選びで失敗しないようにするには、「M&A助言業者のお金の流れ(収支構造)」を知ることが非常に有効です。

彼らのインセンティブを理解しておくことで、信頼関係を構築しやすくなる効果も見込めます。

この記事を熟読いただければ、M&A助言会社がセルサイド(売り手)にガンガン会社売却を打診してくる割に、『「セルサイド(売り手)が一生かけて必死に育てた会社を、少しでも良い相手に、少しでも良い条件で売りたい」という自然なニーズに正面から応えようとしない理由』が何なのかをご理解いただけると思います。

「不動産 高く売る」「自動車 高く売る」など、他の高額商品の売却なら、大量に関連サービスが検索結果やリスティング広告に表示され、テレビCMでも「高く売るなら〇〇」などと宣伝されていますね。ぜひ、Google等で「会社 高く売る」と検索してみてください。M&Aの場合、広告や関連記事が非常に少ない、あっても変化球の回答が多いという事実を簡単にご確認いただけると思います。しかも、「会社 高く売る」と「会社 安く売る」で同じM&A助言会社がリスティング広告を出していたりします。

何かがおかしいと思いませんか?こういう違和感センサーは、M&Aという取返しのつかない交渉においてとても大事ですよ。

違和感センサーを発動させつつ、M&A助言会社の広告、人材募集、トップの経歴などを確認することも非常に有効です。これらには、真の姿を推定する際に役立つ情報がたくさん詰まっているものです。

例えば、弊社SCAは、単独商品である上、ターゲット顧客も自社の得意分野に絞り込んでますから、広告・採用でのメッセージは明快です。弊社代表(稲村)の経歴は下記リンクからご覧ください。弊社の経営理念の背景をご理解いただけます。弊社SCAはセルサイド特化型の片手FAですので、売却額の追求は当然のことながら、厳格な情報管理も同様に最重要ミッションと位置付けております。そのため集客上説得力の強い「実名のお客様の声」は一切公表しておりませんし、成約件数を増加させるためだけに、売却情報をネット等で公開したり、M&Aブローカーに横流しすることも一切しておりません。後ほどご説明する品質主義を追求しているからです。

ご参考(弊社代表者のご紹介)

M&A助言会社選びの最強思考法(期待値比較)

M&A助言会社選びの成否によって、M&Aの結果にどれくらいの差が生じるのか、数字でイメージを持つことは重要です。おそらく想像を遥かに上回る世界のはずです。なぜ結果に大きな差が生まれたのか、差の原因を理解すること、そこに自分のケースをあてはめてみることによって、不測の損害を回避できます。

M&A舞台裏へのアクセスが限られている、情報収集を面倒臭がる人が多いことから、残念な結果が量産されてしまうわけです。

まずは、極端な2ケースの期待値計算と比較をしてみましょう。

M&A助言(A社)に依頼する場合:着手金あり重厚な分析を経た魅力や可能性を伝えきる厳選相手への高品質提案片手報酬で、初期コストは[▲0.1]、10社の相談のうち7社は受託しない。残る3社を受託し、2社が会社売却に成功する。つまり、67%の確率で[高(100)の価格]で売れる。33%の確率で[売れない(0)]。33%の売れなかった場合でも厳選提案・厳格情報管理のため、機密情報の漏洩・悪用はなく(▲0)、時間を空けてもう一度M&Aにチャレンジできる。(+0~100)。

M&A助言(B社)に依頼する場合:着手金なし理解浅いままマッチングのみ手あたり次第提案両手報酬で、初期コストは[ゼロ]。10社に1社はM&A会社売却に成功する。つまり、10%の確率で[中(50)の価格]で売れる。90%の確率で[売れない(0)]。90%の売れなかった場合には手あたり次第提案の結果、機密情報が漏洩・悪用され、二度とM&Aにチャレンジできない会社が9社中1社発生する(▲50~100)。

期待値が一番高そうな方法から試し、それがダメなら次点にクイックに移るのが、勝算の高い合理的思考の基本ですね。合理的志向の持ち主なら、まずA社に打診する、受託OKならそのまま進める。受託NGなら理由を問い質し、短期で解消できる問題なら解消して再度A社に打診、解消できないならB社に打診という判断ルートを辿るはずです。

関連知識さえあれば、どっちが合理的な判断かは一目瞭然でしょうが、知識不足のセルサイドが多いので、本当はA社が適しているのに間違って最初にB社に依頼してしまう人が後を絶ちません。本来[100]以上で売却できるユニークな会社を、〇〇無料等の宣伝文句に釣られてB社に依頼してしまったオーナーは、期待値が85.9も低い方を選んだということになります。非合理的な意思決定に見えますが、情報の非対称性がある場合には頻繁に起こる現象です。

「会社売却の打診さえすれば、バイサイド(買い手)が秘めたる価値まで残らず評価した最高価格を自動的に提示してくれるだろう」という甘い夢も失敗原因の1つでしょう。

「M&A成約件数が多い先に依頼しておけば、一件一件を大切に最高の仕上がりにしてくれるだろう」という思い込みも失敗原因の1つです。

甘い夢思い込みはキッパリと捨てて、成約件数よりも成約率重視、それよりも実際売却額情報管理を重視しましょう。期待値が最強です。

通常、打診先数の多さは(例外的な状況を除き)結果に大きな影響を及ぼしません(むしろ多すぎる打診はセルサイドにとって危険です)。

最終的に売却する先は1社だけ、最高の評価をしてくれる1社に辿りつけたか、最高の評価をしてもらうための絶妙なプロセスを実行しきれたかが結果に大きな影響を与えます。

つまり、会社売却の結果はM&A助言会社の仕事ぶりにかかっています。

A社は品質主義のM&A助言会社、B社は件数主義のM&A助言会社です。

仮に、品質主義A社は1人当り年間3件を受託、件数主義B社は1人当たり年間30件を受託とすると、A社とB社で働く人は、全く別業種といっても過言でないくらい仕事内容が異なっているはずです。

ユニークな会社を売却する場合、まずはA社に打診し、好条件獲得のための交渉の機会を作ってもらう可能性を追求しましょう。

ユニークな会社の場合、A社が最高のパフォーマンスを発揮すると、[100]ではなく[200]以上で売れることもザラにあるという点も重要です。事業は生き物、買うのも生き物、売るのは将来の期待とシナジー源泉ですから。

ちなみに、弊社の歴代最高事例は、B社の[中価格50]の10倍である[500]で売却することに成功したケースです。M&Aは、絶妙に条件が整うと大きな差が生じうる極めて流動的な取引です。平均点は低くても最高点が高ければ結果オーライがM&A会社売却です。[50]の価値しか認めてくれない会社ではなく、[500]の価値を認めてくれる会社に[500]の価値があることを証明できたから成立したのであり、また、[500]の価値で買収した会社は[500]以上の価値があると納得したから[500]で買収したということです。全員ハッピーなので全く問題ありません。単独株式価値が流動的なうえに様々なバイサイド候補との様々な結合効果が加わり流動性が増すのがM&Aです。

弊社は、後述の理由に基づき僅少額の着手金(▲0.1)をいただきますが、圧倒的コスパを誇るのは、高品質業務遂行のための独特の準備をしていて、期待値が高いからです。成約件数成約確率等の部分指標に惑わされず、総合指標である期待値で比較しましょう。弊社は成約件数は追わずに一件一件を大事に扱います。成功確率が80%を切らないよう維持はしていますが、何よりもこだわるのは実際売却額情報管理です。最低[100]、実現可能性のある[最大値]を狙います。必要に応じ、売却前の総合的な準備をお手伝いできるし、片手FAならではの高度なM&A技術を組合せることができるからこそ可能になるユニークなM&A助言ビジネスモデルです。

例えば、弊社受託案件の平均イメージをご紹介しますと、アマ価格[50]プロ価格[100]の会社であれば、売却前後で[125]となる改善策を構築(部分実行)し、数年内に[300~]に飛躍させられるM&A能力の高い優秀なバイサイドに、しっかりと提案・交渉し、実際に売却[125]又はM&A技術で更に伸ばす[150-200]というイメージです。ユニークな潜在価値のある会社を[50]で売るのは実にもったいないわけです。たしかに10倍の[500]は稀なケースですが、[100]~[200]は珍しくはありません。一緒に価値を創造するWin-Winゲームであることをご理解いただけるかと思います。M&Aは奪い合うゼロサムゲームではないのです。

■ [100]の現況価値があることを説明する材料を用意する(★)

■ [125]の価値に伸ばせる部分を探して、改善実行策を用意する(一部は売却前に実行)(★)

■ [300]の価値に伸ばせる環境・戦略の存在を説明する材料を用意する(★)

■ バイサイドが更なる伸びしろを見つけやすいように材料を用意する(★)

■ 状況に最もフィットしたM&A能力の高いバイサイドを厳選して選別し(★)、複数社に提案し(☆)、競争環境を最大限維持しつつ、バイサイドに更なる伸びしろを検討してもらいながら交渉する(★)

これらを、事業・ファイナンス・M&Aという複眼的な視点から実行しきるのが、望ましいセルサイドM&Aバンカーの仕事であると考えています。M&Aは、企業価値向上ツールの1つであり、会社売却額はその結果です。M&Aの検討期間中、企業価値を向上させる事に100%集中し、堂々と高額売却を目指しましょう。その方がハッピーになる人が増えます。

誤解されやすいのが、上記の「改善」や「伸びしろ」です。「俺の方がアンタよりも上手にできるよ」とおっしゃるオーナー社長様が多いのですが、実はそういうケースは少ないのです。なぜかというと、通常のオーナー経営では、オーナー独自の評価尺度で経営されれていて、それで完璧にOKなのですが、今、問題なのは、「M&A取引で使用される企業価値という評価尺度」だからです。M&A・企業価値の土台は「ファイナンス理論」であり、M&A的な評価を上げるには、ファイナンスの観点から評価され易くしておくことが重要となるのです。つまり、時間リスクバランス相互作用等を総合的に考慮して、絶妙に、順序よく、中長期的な企業価値を最大化するための具体的方策を考案して実施していくことが重要になります。二次元ではなく、三次元とか四次元のファイナンス思考が土台にあってはじめて「M&A的に評価してもらえる改善・伸びしろ」になるということです。

ちなみに、B社タイプのM&A助言会社は、数時間の質問を数回実施した後、「後はお任せください」と早速、可能な限り多数のバイサイド候補に提案に行くようです。つまり、上記の★はスキップし、☆だけ実施します。だから〇〇無料が実現できるし、一度に多数の案件を受託できるのでしょう。たしかに、セルサイドとしては準備が楽ですし、特徴がなく売れたらラッキーな会社を売却する場合には効率的で良いのですが、高く売れるはずのユニークな会社の場合、DDに入ってから違和感センサーが発動しても「時すでに遅し」なわけです。★の作業を偶然関心を示したバイサイド任せにすることを意味しますから、バイサイドとしても「苦労して考えたのはコッチなんだから、企業価値の改善分はすべて俺がもらうよ」となっても当然でしょう。貢献報酬はバランスすべきなのです。

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