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全タイプ徹底比較:レーダーチャートでピッタリなM&A助言会社を選ぶ(ネット系M&A仲介から外資系投資銀行まで)

2018/9/24

M&Aのチーム管理

全タイプ徹底比較:レーダーチャートでピッタリなM&A助言会社を選ぶ(ネット系M&A仲介から外資系投資銀行まで)

M&Aによる会社売却は、通常、M&A助言会社を雇って成立を目指すことになります。

セルサイド(売り手)は、M&Aで会社を売却したことのない方ばかりであるため、そもそも一言でM&A助言会社と言っても、M&Aバンカーとか、M&A仲介とか、M&Aアドバイザーとか、ファイナンシャル・アドバイザーとかの助言担当者の呼称も違えば、投資銀行、銀行や証券会社等の金融機関、会計事務所系コンサルティング会社、経営コンサルティング会社、ブティックM&Aハウス、ネットマッチング系のM&A仲介、訪問営業系のM&A仲介などの器の種類も違い、M&A助言業務を委託する際の業務委託契約も片手契約もあれば両手契約と契約形態も複数あり、非常にややこしいものです。外資系投資銀行の社員であってもM&A助言業務について理解しているのは全体の5%もいないくらいであり、多くのセルサイドが詳細を知らないのは当たり前とも言えます。

ご自身の会社をM&Aを通じてどうしたいのか、ご自身が会社売却を通じどのような経済的成果を得たいのかに応じ、気にすべき事項は変わってきますが、実際にどのようなことを気にしてM&Aプロセスに入っていけばよいのかが分からない方が圧倒的多数かと思います。

M&A助言担当者(個人:超優秀 vs 未経験2年目)のスキルの違い

まずは、やや衝撃的なレーダーチャートをご覧ください。これは、弊社SCAの中核メンバーが、実際の仕事ぶりを観察することのできた実在のM&Aアドバイザーの中で、特に優秀だと思った方特に修行不足と思った方それぞれ、セルサイドのM&A助言業務で必要とされるスキルについて採点したものです。

盲点になりやすいのですが、セルサイドにとって大事なのは、メイン担当者がどういうスキルの持ち主かということです。

後ほど、各項目について解説しますが、赤い線の最優秀クラスの方は、外資系投資銀行のM&A助言部隊の方で、特にスキーム考案力と提案力・交渉力が10点満点を突き抜けて15点くらいあげないといけないというスキルをお持ちの方でした。

一方、紫色の線のM&A未経験者の方は、本格的なM&A助言は未経験で、未経験者でもスピード教育するという触れ込みのM&A仲介会社で2年目という方でした。ほぼテレアポや訪問活動に時間を割いていたためか、このような採点しかしようがないという状況でした。

日本ではM&A助言業務資格免許が一切要求されないこと、大量の団塊世代の引退に伴う事業承継難がチャンスと映っているため、未経験者が非常に増えてきています。金融庁の監督対象で片手FAのみが許される金融機関で修業したことのあるM&Aバンカーが従来通り一定数従事している一方(リーマンショック後のリストラでむしろ減少傾向かもしれません)、本格的な修行を経ずにM&A助言をしている人が増えていることから、おそらく前者は1割以下、後者が9割以上という状況になっているのではないでしょうか?金融機関内のM&A助言チームの人もスキル不足の方が増えてきたという危機感を感じる状況です。

セルサイドにとって自分の命の次くらいに大事な会社の売却は、できれば赤い線のような優秀な方に依頼したいところでしょうが、こういう方は巨大なM&A案件に従事し、着手金だけで数千万円要求するような案件で登場する方ですので、なかなか依頼することは難しいはずです。せめて赤い線の8割くらいの方を探したいとしても、大手金融機関や独立系ブティックM&Aハウスのどこが相手をしてくれるか、さらに担当者を選べるのかも分からないという状況かもしれません。

M&A助言会社の案件規模別分布図

上の図が、現在の日本に存在するさまざまなタイプのM&A助言業者を、M&A案件サイズ別に分布状況を示したものです。

図の左から順に説明します。

調整EBITDAは、本格的M&A助言で案件サイズを決定付ける最重要指標の1つです。調整EBITDAは、ここでは簡便に、営業利益+減価償却費+会社売却後減らせるオーナー関係費用と考えてください。

純資産ベース(両手M&A仲介)は、日本でM&A助言未経験者でもM&Aの相手を探せば成立させられるようにと、簡便な計算式として開発されたもので、一般的に純資産+営業利益×3~5年と考えてください。調整EBITDAやフリーキャッシュフロー等のファイナンス思考による企業価値評価をしなくても良いという点、バイサイドが買収しやすい(安すぎる)ケースが生じやすい計算方法です。

適正評価(片手FA)は、調整EBITDAに、事業のリスクや成長可能性等を斟酌して決定した倍率を掛け算して計算する等の方法(EBITDAマルチプル法)がメインであり、状況に応じて様々な方法があります。規模が大きくなるほどに希少性や安定性等を反映し倍率が跳ね上がっていく可能性が高まりますが、調整EBITDAの5倍程度が、平均的な中小企業のリスクや成長可能性を反映したものとして考えておいてください。実際には、個別事情によって大きく上にも下にもブレる可能性があります。

零細規模から1~2億円くらいの調整EBITDAサイズの会社の売却でもっとも頻繁に登場するのが両手M&A仲介です。件数主義未経験者採用トップも異業種出身)・簡便M&A助言が典型的な特徴です。セルサイド(売り手)とバイサイド(買い手)の双方から成功報酬を受領する上、媒介のみに専念することから業務内容も限定的にできるため商売として成立している業態です。1人の担当者が一度に多数の案件を処理することも可能です(同時に10件以上なども)。注意すべきなのは、セルサイドのM&Aに関する無知による情報の非対称性に加え、最近はバイサイドの裾野を広げる動き(例えば、大企業サラリーマンの退職金狙いの動きや中小企業バイサイドにPMIサービスと称したお得意様化活動等)があり、バイサイドも情報の非対称性リスクを負うケースが増えてきているようで、上場株式の売買仲介と同様に、未上場株式の売買仲介(しかも過半数取得による経営権異動)にも金融庁による厳格な規制が課せられる契機となるような「事件」が起きてもおかしくない状況になっています。いずれはAI(人口知能)に代替可能な業務内容ですが、最大のチェックポイントは、「案件最終局面までセルサイドに対する誠実性を本当に維持できるビジネスモデルなのか」、を確認することだと思います。

概ね調整EBITDAが5,000万円以上のサイズの会社の売却になると片手FAが登場するようになってきます。品質主義高度な知識経験要件本格的M&A助言が典型的な特徴です。片手FAは文字通り、片方からしか報酬を受領しません。仮に5%の成功報酬とするなら、2億5,000万円の案件ですと、1,250万円の成功報酬にとどまり(1人分の人件費分にも満たず会社に利益が残らない)、提供する業務内容はサイズに関わらず多岐にわたり高度かつ業務量も多いので、料率を少し上げてもらう等の工夫が必要になります。しかし、そもそも適正価格純資産ベース価格よりも相当に高くなる期待を持てるため、セルサイドにとっては結局コスパが遥かに良くなる点が最大のメリットでしょう。問題は、一度に案件を多数抱えられない(同時に1~2件が限界)ため、偶然、有能な担当者の時間が空いている等の運がない場合、中堅・中小企業の案件は比較的経験の浅い担当者になりやすい点でしょう。

セルサイドがM&A助言会社に要求したい能力

このような項目がM&A助言会社に持っていてほしい能力です。

■ ビジネス理解力:広範囲にわたるM&A助言業務の基礎
■ ビジネス改善点発見力:中堅・中小企業に多い惜しい会社の売却で重要(ユニークな強みがある場合に特に重要)
■ スキーム考案力:難しい案件を成立できるように、どうせなら当事者双方のメリットを拡大したい場合に重要
■ ファイナンス設計力:M&A関連ファイナンス商品を活用して条件向上のチャンスがある場合に重要
■ 会計・税務・法務知識:様々な局面でスムーズに処理を進めるために必要不可欠
■ クライアント誠実性:やり直しがきかない場合、やり方次第で結果に大きな差が生じやすい場合に重要
■ 適正評価能力:早期安値売却ではなく適正評価で売却したい場合に重要
■ 提案力・交渉力:M&A能力の高いバイサイドとの交渉で特に重要
■ 会社アクセス数:零細企業の売却で特に重要(M&A能力の高い優良バイサイドは少数であるため意味は薄い)
■ 押込み力:零細企業の売却で特に重要(一定規模以上の会社売却では無意味)
■ 小規模バイサイド開拓力:零細企業の売却で特に重要(数千万円程度までの会社買収をできる無数のバイサイド候補の開拓力)

M&A助言会社(全タイプ・平均的個人)のスキルの違い

各タイプの標準的な担当者のスキルの分布について、弊社の中核メンバーによる独断と偏見でプロットしたものです。

明瞭に大きく2つのタイプに分かれることをご確認いただけるかと思います。投資銀行、金融機関、ブティックM&Aハウスは片手FAであり、修行を完了した人(一般に一人前のM&Aバンカーとなるには、入社前にビジネスや財務・税務の専門知識を勉強し、入社後にM&A助言を7年以上経験することが必要と言われています)が相当割合含まれ、時計周りに12時から8時の領域(成果を出すための品質主義のM&助言)に力を入れています。高度なスキルを要求されるため、給料も破格になりやすく、月額固定給が70万円から300万円程度、賞与がさらに業績等に応じて加算され、年収合計が1,500万円(国内金融機関の一人前クラス)から1億円(外資系投資銀行の最優秀クラス)となるのがこのタイプです。この何倍ものクライアント貢献をしているので正当化される報酬です。標準的には1,500~2,000万円程度でしょうか。

一方、両手仲介タイプは、小規模企業のマッチングに注力するため主に9時から11時までの領域(品質よりも活動量、件数主義のM&A助言)に力を入れていることを理解いただけると思います。中で働く人には主に個人の成果に連動した賞与が中心となり、月額固定給は20~40万円程度、年間5年成約させれば年収1億円も夢ではないという給与体系になっています。標準的には500~800万円程度でしょう。

M&A助言会社(中堅・中小対応・平均的個人)のスキルの違い

大半の方は、外資系投資銀行に依頼することは難しいでしょう(最低でも単年度の調整EBITDAが50~100億円くらい必要となります。一部上場してから依頼するというイメージです。)から、多くの中堅・中小企業の売却を検討しているセルサイドの方が、現実的に比較検討すべきタイプのみを残したものが上のレーダーチャートになります。

オレンジの枠で囲っているスキル群は、「中堅・中小企業のうち、ユニークな強みを持つ会社ちょっと惜しい会社を少しでも好条件で売却したい」というニーズの方にとって、特に重要になるものです。「ビジネス改善点発見力」はその中でも身に着けることが困難で、成果への貢献が大きなスキルです。ファイナンス理論、専門家知識等というM&Aの土台をしっかりと学んでからM&A助言の世界に入り、カバレッジ(M&A営業)とプロダクト(M&A商品)の双方の修行を終えて一人前となります。

紫色の枠で囲っているスキル群は、「零細企業等でとにかく会社を畳まずにどこかの会社に経営を引き継いでもらいたい」というニーズの方にとって特に重要になるものです。なにぶん、バイサイドも中小企業以下の規模となりやすいため、膨大な中小企業の中から買収に関心を持ってくれる会社を足で探さねばなりません。バイサイドも素人であるケースが多くなり、人間関係の構築力(対セルサイド)、押しの強い営業力(対バイサイド)の二面を持つ人間力がモノを言います。異業種トップセールスマン(例えば、ワンルームマンション投資のテレアポ営業や経営者向けの保険営業等でトップの成績を飾った経験のある人)が適任となりやすく、事実、そういう人が増えている状況です。

表向きは同じような仕事をしていそうに見えても、実際の仕事が大きく異なっている背景を理解いただけると思います。

弊社SCAの場合

ちなみに弊社SCAは、ちょっとユニークなポジションに陣取っており、例えば調整EBITDAが3,000万円程度の規模の会社であっても、ユニークな強みさえあれば、20億円の案件と同等のエネルギーを割く上、弊社の独自モデルである「企業価値向上コンサルティング」により、売却前及び売却後の業績向上を「ファイナンス思考」によって探し出し、実際に実現させるサポートをするため、過去、純資産ベース価格の10倍以上の価格で売却できたことがあります。ユニークな強みがあり、かつ、ちょっと惜しい会社の場合、もう少し柔軟に検討できる場合があります。

ユニークな会社を高く売る | 未来志向M&A」というコンセプトの弊社SCAのスキルセットの分布イメージは上のレーダーチャートになります。特に「ビジネス改善点発見力」は、弊社が最も力を入れているスキルで、このスキルを向上させるためだけに、いくつかの事業を自らがオーナーとしてお金を出して起ち上げ、日々業務改善の方法等を研究しているというものです。サラリーマンでは絶対に身に付かないスキルであり、M&A助言の本質が詰まっている最重要スキルです。

会社を高く売るには、(今ある、準備して作る)ユニークな強みを、最適でM&A能力の高い厳選したバイサイドに、効果的に提案することが重要であるため、オレンジ枠以外は最小限の力の入れ方にしています。

投資銀行並みの高度なM&A助言クオリティに加え、業務改善という独特のクオリティを足し算したイメージです。これを中堅・中小企業にも適用可能としているのは、ズバリ、弊社SCAの中核メンバーの全員が、①投資銀行流M&A助言の修行を終え、しかも②起業独立の経験者であり(=サラリーマンマインドの人を参画させておらず)、③「手間が多少かかってもユニークな会社をM&Aで飛躍させるお手伝いしたいし、その方がエキサイティング」という高い志を持った人だけ、④M&A助言という仕事を「ライフワーク」として見ていて短期の利益効率性をあまり気にしないでよくなった人だけで構成しているからです。

■ 他人がやらないことをやってきたという自負がある方

■ M&Aという経営ツールを使って会社をさらに飛躍させたい方

■ ファイナンス理論を意識した効率経営をしてきた自信がない方

■ テクノロジーに疎い方

■ 適正範囲で最高の条件での売却を好む方

は、弊社SCAがピッタリはまる方かと思います。かなりの高確率で想定外の好条件を獲得できると思います。