Knowledge

山頂への道標

TOP

→

山頂への道標

→

会社売却成功の羅針盤!M&A版のSWOTアナリシスの必要性

2018/5/15

M&Aのプロセス

会社売却成功の羅針盤!M&A版のSWOTアナリシスの必要性

SWOTアナリシスという経営戦略上の分析ツールは、非常に有名なので、大半の方がご存知かと思います。SWOTを用いることで、今の状況(ステータス)を正確に把握できることから、より効果的な今後の経営戦略を検討するための道具として理解されていると思います。

念の為、SWOTが何のことか知らないという方のために簡単にご説明しますと、
内部環境として、強み(Strength)、弱み(Weakness)
外部環境として、機会(Opportunity)、脅威(Thread)
という4つの視点による今の会社の経営状況の整理ツールということになりますね。

ノーマルなSWOTアナリシスの使い方

M&Aを検討されているオーナー社長様は、まず、普通にSWOTアナリシスをしてみてください。これはこれで非常に重要な手続きです。それぞれについて、入手可能なあらゆる情報を基礎とし、外部の第三者から見て「なるほど」と思ってもらえる水準になっていれば合格です。このような4つの視点について、スラスラと分かりやすく、穴のないように、矛盾や無理がないように説明できるようにしておくことが重要です。

M&A用のSWOTアナリシスの使い方

M&A案件としての現状把握としても、このSWOTアナリシスが有益なツールであることは、実は、あまり知られていません。つまり、会社経営者視点から見る会社の強み・弱み・機会・脅威(ノーマルなSWOTアナリシス)ではなく、不特定多数バイサイド候補視点から見るM&A案件としての強み・弱み・機会・脅威(M&A用のSWOTアナリシス)の分析をしておくことが、非常に重要なのです。M&Aの準備段階の分析をすると、多くのケースで、(独立した単独の会社としては)全く問題ないけれど、(バイサイドの多くが所在地を構える)大都市から遠距離の地方にあるというだけでも(多くのバイサイド候補から見ると)「弱み」として映りやすいと思いますし、(バイサイド候補という実態をほとんど知らない外部第三者から見ると)競合企業による一時的な攻勢等が「実態よりも大きな脅威」と見えてしまうかもしれません。さらに、価格条件を限度額まで引き上げたりそのために面倒なスキームの工夫を検討してもらうためには、将来の成長可能性(M&A案件としての「機会」)について、そのような「機会」が本当に存在し、かつ、実現可能であると評価されなけれなりませんね。「機会」の実現方法をしっかりと整理しつつ、さらに、ココが非常に重要なのですが、「腕に自信のあるバイサイド候補」を探し、「効果的に説明する」ことが重要となります。そうでなければすべては絵にかいた餅となってしまいます。

M&Aを始める前の準備項目の整理ツール

SWOTアナリシスは、必ず外部第三者のチェックを入れてください。社長様が、謙遜しすぎだったり、逆に自信過剰であることが往々にしてあります。オーナー社長は、日頃から孤独になりやすく、周囲の人は真向から的確な批判をしてくれません。筆者の経験上、企業経営に関する広く深い知見を有するプロによる視点を入れることで、「時代の変化によって、昔は強みだったものの、今は強みと言えなくなっていたり」、「技術の進歩によって、昔は問題のなかった経営手法が、今となっては欠陥となっている。」さらに、「社長本人も気づいていない成長可能性や利益水準向上余地、つまりM&A案件としての「機会」(Opportunity)が見つかる」ことがたくさんあります。時代の変化や技術の進歩は、10年前とはけた違いのスピードで会社に襲い掛かってきていますから、ほとんど全ての会社には潜在的疾患が潜んでいて、すでにその兆候や症状が出ているものです。まずは正確に現状を把握することが、M&Aでの会社売却を大成功に導く第一歩です。このような会社の健康診断のようなプロセスを経ることで、大概のケースで、会社としての強みの強化策弱みの治癒方法機会実現の条件脅威軽減の方策を発見することができます。さらに、M&A案件としての強み弱み機会脅威の見せ方や最適なバイサイド候補の探索基準を整理することができます。つまり、何も準備せずに今のまま売ってしまってもよいのかどうか、何をすれば実力を評価してもらいやすくなるのかについて考えを整理することができます。その努力には報酬が付いてきます。最適なバイサイドへの適正評価(=好条件)での売却可能性が高まるという形で。

M&Aバンカーによる診断がM&Aの成否を分かつ

上記のような健康診断は、十分な専門知識と経験の蓄積は当然のことながら、人間洞察力、市場観察力、事業分析力について、高く低く、広く狭く、表から裏から、時代の推移を加えて検討することでようやく意味のある成果につながります。いわゆる鳥の目、虫の目、魚の目という複眼的な分析・検討が必要です。能力のありそうな外部パートナーにM&Aの準備の段階から依頼することが賢明でしょう。