Knowledge

山頂への道標

TOP

→

山頂への道標

→

M&A売却 -安値回避7選-

2020/7/2

M&A売却-安値回避7選-

M&A売却 -安値回避7選-

M&A会社売却は、原則として、相手を適切に選び、相手が正しく評価できるよう適切な情報開示と適切な提案をし、プロセス中登場する各種論点について適切に交渉して合理的にリスク負担を配分すれば、適正な評価を得られ、安値売りを避けることができます


高く売りたいというニーズを実現するには、高く売る方法論を知るのも重要ですが、それ以前に、なぜ安く叩かれてしまうのか、どういう構造が安値M&Aを生み出すのか、を理解しすることも等しく重要です。


一言で言えば、クライアント利益に忠実なポジションに徹している売り手の利益に真に誠実なM&Aアドバイザー、安値売りの落とし穴に落ちないように気を配ってくれるM&Aアドバイザーを雇えばよい、と言い換えることもできます。


すなわち、安値売りを避けたければ、正しいM&A評価手法によるバリュエーションを生まれてこの方した事すらないなんちゃってM&A業者の見極め方を知り、もしくは安値でよいからとにかく成約させたいといったM&A業者のインセンティブ(動機)やそれを許容する社会状況(規制)を知ることが重要なのです。


M&A業者には、一案件の成約につき、[5]%前後の成功報酬だけを受領する片手報酬業者と、[5]%前後×2のダブル成功報酬を得る両手報酬業者がいて、前者は一件ごとの仕上がりのため最大限の努力をするしかありませんが、後者は一件ごとの仕上がりよりも多件数を効率的に成約させる方が儲かります。


両手報酬業者の場合、一案件につき、複数の買い手から様々な名目の報酬(社名開示、DD、バリュエーション等)を受領することも可能であり、かつ、案件成約後においても同一の買い手が得意客になって再度成功報酬を得られたり、PMIサポートと称し案件交渉期間中にやっておくべき事務作業等に対する報酬を受領することも可能です。


M&Aアドバイザーは、10年前は、もっとも高度に知的な仕事の1つと言われていましたし、M&Aの仕事に従事したければ、大変な事前準備が必要でした。資質、知識、経験の全てが揃って、ようやくM&Aの門をくぐることができたのです。今でも大企業M&A案件は外資系投資銀行、大手金融機関、グローバルM&Aブティックハウス等の独壇場であり、そこでM&Aアドバイザーの職を得るには非常に大変な事前準備が必要です。M&A助言業務は、外資系投資銀行のブランドイメージを今でも支えている業務の1つです。トレーディング部門は楽に膨大な利益を出す儲けの花形ですが、M&A部門は高度な知性とハードワークで社会の変革を導く金融職人の花形です。


しかし、今となっては、零細案件や個人事業案件を中心として、一定規模の中小案件まで、未経験者がわずかな研修を経て、表舞台に登場し、何食わぬ顔でクライアントであるオーナー社長の人生の総決算や対象会社の将来を左右する重要任務に当たります。


つまり、資質、知識、経験のいずれか(または全て)を欠いた人の方が(圧倒的に)多いのが、日本のM&A助言市場と言えるわけです。そういう業者にとって幸いだったのは、売り手はM&A素人が大半であり誘導するのは簡単、買い手もM&A素人が多く誘導するのが簡単、しかも規制は一切ない、でも成約させるだけでたくさん儲けられる、という特殊な業界構造です。


となれば、プロ不在でも案件を進められる、つまり安い人件費負担で、厳しいノルマを課し、効率ばかりを重視した件数主義のM&A助言のパターン販売が可能となるわけです。中抜きビジネスモデルの規模的成功パターンは、とにかくコレです。他業界でも散見されますね。


ここで最も損をするのが誰で、最も得をするのが誰なのかを知り、たいした貢献もしないのに多額のキャッシュを手に入れようとする人にうっかり誘導されないような対策が必要となるということです。


聞いていた話と違う、後から真実を知って怒り爆発となったM&Aの売り手や買い手による裁判沙汰は日常茶飯事となったようですが、それも氷山の一角で、M&Aトラブルに特化した法律事務所も登場する状況でありますが、廃業件数が増えると困る政府としては半ば見て見ぬふり、まずは緩めの制度(M&A支援機関登録制度を通じた補助金支給)を通じ、どんなトラブルが生じるのか、情報収集をしている段階にあります。


基本的に、事前に知ることができたのに、それを知る努力を怠ったのは事実ですので、裁判をしても公正な処分による十分な回復を得られる保証はありません。訴訟費用を欲しがる弁護士という中抜き業者にわずかに残った分配金が流出するだけかもしれません。M&A取引には、さまざまな中抜き業者が登場します。SCAもその1社です。M&A助言、DDベンダー、バリュエーションが基本ですが、最近は、事後トラブルを裁判で解決するためのM&A弁護士、事後トラブルの損害を軽減するための保険会社すら登場する始末です。


売り手が、誠実で優秀なセルサイドFAを雇いさえすれば、余計な中抜きをされずに済むのに、目先の費用負担や手間を嫌ったがゆえに、結果として、遥かに多くのキャッシュがあちこちの中抜き業者に分配されてしまうわけです。ここで大事なのは、買い手が負担する中抜き費用は、事実上、売り手が負担しているのと同じということです。この構造を知り、着手金無料、料率が低い、成功報酬無料などで喜ぶことがいかに危険なのかを知っておくことも重要でしょう。


つまり、悪質M&A業者の排除を目的とする実効性ある規制は今の日本には存在せず、情報を収集して自分で自分の身を守ることが不可欠というのが現状です。


落とし穴の存在を知り、誠実で能力が高く、できるだけ相性のよいM&Aアドバイザーと二人三脚で一定期間頑張ると、安値売却を避けられるとともに、適正評価での売却成功、場合にとっては更なる高み、も期待できるでしょう。


まずは、日本の中小M&A市場に潜む落とし穴について説明している、下の記事を読んでみてください。

https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/114
https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/389
https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/394
https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/2724
https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/4293
https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/5149
https://www.sherpa-capital-advisory.com/knowledge/5073