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SCAは令和3年「M&A支援機関の登録制度(中小企業庁)」への申請を見送りました

2021/1/1

SCAは令和3年「M&A支援機関の登録制度(中小企業庁)」への申請を見送りました

SCAは、設立当初からインターネットを通じ日本の中小M&A市場の歪みについて問題提起を続けてまいりました。

具体的には、
① M&A助言業務がもたらすインパクトは、社会にとっても、関係者個人にとっても甚大であり、また、本来は高度な専門性を要する高度専門職であるにもかかわらず、人的資格要件等を定めた規則もなく、売り手オーナー集客と買い手マッチングの仕組み化だけで多額の報酬を獲得できてしまうがため、問題を抱えたM&A業者が次々生まれやすい構造にあること、
② その当然の帰結として、自身の利益効率を過剰に重視するマッチングに偏向したM&A仲介業者(BB: ビジネスブローカー※米国ではM&Aアドバイザーと呼ばれません)が(伝統的なM&A助言業者(FA:ファイナンシャル・アドバイザー)と競合せずに済む)零細・個人事業M&A市場を支配し、昨今、インテグリティ、フェアネス精神を重んじるFAが力を尽くすべき中堅中小M&A市場にも、膨大な露出によってBBのリーチは届いてきており、最適状態から乖離しトラブルも起きやすいM&Aディールが量産されやすくなっていること、
③ それらによって、主に、M&A知見に乏しく立場の弱い売主がその歪つな分配の調整弁(皺寄せ)となっていること、
④ 特に、リスクを負担し、長年の努力を続けてようやく構築できる「ユニークな会社の強み」を具備する会社を売却せんとする売主が不公正な負担を強いられ続ける事態は、すなわち民間事業者の活力を長期的に損ないかねないゆゆしき事態と言えること等をメッセージとした情報発信を長年に亘り続けてまいりました。

そのため、日本の典型的な両手報酬タイプの効率重視のM&A事業者(BB)とは「真逆」の、「ユニークな強みを持つ中堅・中小企業の売却支援に特化したあるべきM&A助言のビジネスモデルFA+α)」を、どんなに苦労してでも確立したい、と挑戦し続けてきたのがSCAの歴史でもあります。

このような背景もあり、「両手タイプM&A仲介(BB)に包含される利益相反構造への注意喚起」や「過度に悪質なテール条項への注意喚起」等を含み、売主がM&A助言業者を利用する際の注意事項等をまとめた「中小M&Aガイドライン」策定の動きにつき、僭越ながらSCAは高く評価しております。
ただし、慎重に読んでみると、中小M&Aの定義はあいまいで、ガイドラインの内容も零細・個人事業のマッチングに注力するBBが最低限守るべきガイドラインとしての色彩が濃く、インテグリティ、フェアネス精神及び広範囲かつ高度な専門性を兼ね備えたFAのためのガイドラインではないのではないか、との疑問が残っております。

そこで、SCAは、気持ちとしては賛同しつつ、令和3年の「M&A支援機関の登録制度」への申請を見送りさせていただきました。見送り理由は以下のとおり(SCAにとって必要性がなく、SCAのクライアント様にとってのメリットもないため)です。

同ガイドラインをつぶさに読み込んでみると、
① そもそも「M&A支援機関の登録制度」はM&A取引関係者が補助金を受けるための制度という色彩が濃く、成功するため「売り手による覚悟」が必要なM&A会社売却において”着手金等の身銭を切る方が結局クライアント様のためになる”と確信しているSCAとしては、「補助金を貰えて覚悟ゼロでM&A会社売却にチャレンジできる登録M&A支援機関になる」意義に乏しいこと、
② また、今回策定された「中小M&Aガイドライン」には、(意見聴取したメンバーに外資系投資銀行や伝統的M&Aブティックハウス等の本格的M&A助言サービスを提供する片手報酬FAの存在感が極めて薄く)偏向的な側面を感じ取ることができること、
③ 今回策定された中小M&Aガイドラインは、中堅中小企業やユニークな強みを持ち潜在的な成長可能性を持つ企業を売却しようとするオーナー向けのM&Aガイドラインというよりも「最も数の多い、平凡な事業で、安定~衰退期にある零細・個人事業主向けのガイドライン(≒廃業件数減少ガイドライン)」であって、SCAがサポートさせていただいている「ユニークな強みを持つ中堅・中小企業を売却しようと検討中の売主様」にはあてはまらない、場合よっては誤解を与えかねない記述も散見されるため、SCAの立場上、諸手を挙げて賛同するわけにもいかなかったこと、
④ 予想通り純血種FAの多く(GoldmanSachs、MorganStanley、JP Morgan、野村證券、みずほ証券、SMBC日興証券等)は「FAのみ区分」にも登録をしておらず、一方で、最も問題が起きそうな「仲介・FA業務両方」区分には1800件以上の登録があること、を挙げることができます。つまり、あるべき姿の真のFAは登録は稀で、なんちゃってFABBなんちゃってBBの登録が多いのが現状となっています。M&Aというワードの理解があいまいなまま制度をスタートしてしまったがゆえではないでしょうか。日本でM&Aアドバイザーと呼ばれる人の95%は実はBBであって、米国ではM&Aアドバイザーと呼ばれない人です。

参考:M&A支援機関登録制度 – 登録機関データベース https://ma-shienkikan.go.jp/

SCAは、事業承継をスムーズに進めるため、廃業による経済ダメージを最小化するため、補助金を支給するのだとすれば、BBの集客ツールになりかねなず(すでに広告で頻繁に確認できます)、ややもすると悪質M&A業者を増加させかねない現行補助金制度はベストなものではない可能性があると考えています。なぜ、(自然人存続)初診料ゼロにも(社会人存続)弁護士着手金ゼロの仕組みはないのに(零細法人存続)BB着手金ゼロの仕組みだけあるのか、この点においてアンバランスですし、そもそもサービス無料化を政府が推進するのは、市場経済に悪い影響を与えかねない(プロのサービスは有料が当然、その方が経済はよく回る)と思います。


どうしても補助金を支給するならば、日本の将来のことを考えると、その対象をBB領域(米国に倣い売却対価[1]億円以下)に限定し、BBに支払う着手金等の補助という名目ではなく、例えば、事業承継・引継ぎ支援センター、人材紹介会社、Web教育サービス会社及び人手不足に悩む成長企業やVC等の力を融合させながら、計画的廃業やM&Aを検討中企業に属する従業員等のリスキル費用に投じる方がはるかに効果的ではないかと考えています。最も重要なのはヒトです。BB事業は民間に好きにやらせると問題が起きやすいことは明白です(だから中小M&Aガイドライン策定や相談窓口の設置が必要になった)。専門的ソリューション事業ではないBB事業のコアは「リストの長さ」であり、最も信用できる公的機関に集約、守秘義務を負う士業等が中心となってリストの仕分けをし、必要に応じ外部BB事業者にパスすればよいでしょう。デジタル教育コンテンツの複製はゼロ円です。バルクで動かせるなら紹介手数料もディスカウント可能でしょう。要望通りにリスキルされたチームが成長企業に参画する仕組みがワークし続ければ、ようやくバブル崩壊以降の悲願である「成長戦略」も形になるというものです。令和最大の経済分野における功績は、コレで決まりではないでしょうか。


1人当たり生産性を向上させれば分配は自然と増え、デフレも脱却できます。日本人には底力がある、しかし危機を感じるまでじっと動かない、では危機感のあるときに一気に力を解放させる、という仕組みがよいと思いますが、いかがでしょうか?産業構造改革も余計なことをしなくても市場の力で最適化されるでしょう。